第54回 商売の”はじめの一歩”

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自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

【商売ってなんだ?】

中小企業のオーナーが、
新規事業を任せた社員に対して
「商売がわかっていないよね」という、
愚痴をこぼされることがあります。

新規事業をする際には、
全てが上手くいくことなんてないのですが、
担当する社員の方に対しての、
不満や期待の表れとして
言葉にされることが多いようです。

会社員をしていると、
セールス、経理、企画、顧客管理、など、
部署によって情報や経験が分断されているので、
経営者の商売手法や感覚なんて、
身につける暇はありません。
「商売がわかる」必要がないのです。

ただ、環境の変化に伴い、
どの企業も、新規事業に取り組んでいます。
新しいことに取り組むときは、
役割分担がまだないので、
全てを自分で把握する必要があります。

それに伴って、一社員といえども、
事業全体を見渡して利益を稼ぎ続けることが
求められるようになります。
ところがそれができないために、
冒頭の「商売がわかっていないよね」と
愚痴をこぼされるはめになるのです。

【事業立ち上げの壁】

私も、小さな事業を立ち上げたり、
新規プロジェクトを担当したり、
今はそれ自体を仕事にしています。
その経験から言うと、
「商売がわかる」ためには
たくさんの経験を積まなければなりません。
しかし、担当者が経験を積むまで待っていれば、
会社が傾いてしまいます。

新規事業立ち上げの成功法則はわからないのですが、
「商売がわかっていない」会社員が、
共通してつまづくポイントというのはあります。
ここを理解しておけば、
商売の経験を積み重ねながら、
事業は立ち上がりまわり出します。


【はじめの一歩】

きちんと事業が立ち上がるためには、
”売上を上げる”とか、
”取引を増やす”ことを最優先にしないと、
うまくいきません。

なにをアタリマエのことを言っているのか
と思われるかもしれませんが、
売上や取引数にこだわることができずに、
消えていった新規事業は星の数ほどあります。

会社員をしていると、
売上よりも、粗利率やお客様満足を
成績の指標とされることがよくあります。
その気持ちのまま新規事業に取り組むと、
事業が停滞してしまうのです。

なぜなら、
事業の立ち上げの最重要課題は、
その事業が継続的に拡大するのかどうかなので、
今が赤字か黒字か、
粗利がいくらかは二の次になるのです。

これが経営者の言う
「商売がわかる」
はじめの一歩だとも言えます。

【大切なアタリマエ】

売上が上がらないと、粗利もでません。
顧客がいないと、
満足させることもできません。

「商売がわかっていない」というのは、
自分の思い通りにならない経営者の
ただの愚痴です。
しかしながら、
新規事業の将来性があるかどうかは、
担当者自らが
”売上や取引数”などで示さねばなりません。

担当者の経験不足や事業の難易度など、
新規事業は、立ちはだかる壁の連続ですが、
どの事業を始めるにあたっても、
商売の”はじめの一歩”は同じなのです。

 

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- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

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