第55回 給料もっと欲しいよね?

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自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

【お金の教育】

先日、思いつきではあるのですが、
子どもへの「お金の教育」をしようと考えました。

まずはお金の大切さや、
欲しい物を買うためのやりくりの大切さなどを、
考えるきっかけにしてほしいと、
小遣い帳をつけるよう
小学6年生の娘にを提案しました。

私:「お小遣い欲しいよね?」
娘:「別にいらないよ」
私:「そうじゃなくて小遣い帳をつけて欲しいんだよね」
娘:「いやだ、めんどくさい」
私:「もし小遣い帳をつけるのなら、お小遣い1.5倍あげる」
娘:「だから、お小遣いいらないって」
私:「なんでいらないの?欲しいものないの?」
娘:「お小遣いもらったら、上限が決まるじゃん。
今持っているお金で、欲しいものが決まるでしょ。
それに、今すぐ欲しいものはないし。」
私:「うむ。。。」

【お金を求めていない娘】

娘に小遣い帳をつけさせるのを、
ものの見事に失敗したわけですが、
ここには、私のミスがありました。

娘はお小遣いが欲しいはずなので、
必ず同意する、とタカをくくっていたこと。
最初に娘に断られたので、私のほうがびっくりして、
お小遣いを1.5倍にするという、
さらに魅力のない提案をしたことにあります。

こうなると、
もう娘には勝てません。
論破はできますが、納得はしないからです。
無理やり小遣い帳をつけさせたとしても、
1.5倍のお小遣いをもらう手段として考えるので、
何も学ぶはずはありません。

【若手社員との共通点】

これは、どこかで見た光景です。
この会話の「お小遣い」を「給料」に、
「小遣い帳」を「仕事の指示」に入れ替えて読んだ場合、
昭和の経営者と若手社員の関係になります。

お金があれば、幸せになれると考える人が、
努力すれば、お金をもらえると信じている人が、
私のような言葉を発するはずです。

娘や若手社員は、お金を得ることには、
それほど期待をしていないのでしょう。
彼女らの収入が1.5倍になっても喜ばないのならば、
喜ばない理由があるに違いありません。

【お金は求心力とならない】

おそらく、
娘や若手社員は難しいことは考えているわけではなく、
自分の感じたことを、
そのまま話しているに過ぎません。

彼女らが収入が増えるのを喜ばない理由は、
お金が希少なもの、価値のあるものと、
感じてはいないということなのです。
昭和の経営者や私達おじさんが、
お金の重要性を主張しようとしても、一生伝わりません。

会社や組織は、
求心力となる何かを据えて、
経営者もマネージャーも、そして若手社員も
協力しながらはたらきます。

その求心力が「お金」で
成り立っている集団があるならば、
これからは厳しい出口が待っていると思えてきます。

 

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- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

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