第126回 お詫びの伝え方

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/お詫びの伝え方

連休中に国営・民間放送に務める知人たちと話す機会がありました。

話題にあがったのが「テレビ東京のお詫び広告」について。

これまで6局ネットだった「テレ東」でしたが、先月から「TVer」でのリアルタイム配信をスタートしたことで、全国でのリアルタイム視聴が可能になったというポジティブな出来事を、「お詫び広告」として日経新聞1面に掲載したのです。

一部地域では放送されていなかったにもかかわらず、「全国放送っぽくふるまっていた件に関してのお詫び」というタイトルでのユニークな広告は、

同時に公式Twitterにも掲載され、引用リツイートの記念キャンペーンも展開し、

続けて、地方各紙にも掲載するという流れで組み立てられ、あっという間にSNSで拡散されていったのです。

この出来事に、

・らしい!おしゃれ!
・時代の波をしっかりつかんでいる!
・立体的なキャンペーンの組み方がうまい!

などなど、皆が好印象を抱いていましたが、

その場にいた同社の方が、

「いや、ほんとに、ありがたいです。ネタっぽくしていますけど、リアルな謝罪ですよ」

「僕、地方出身じゃないですか。全国放送の局に制作として入社したとはいえ、これまで地元の友人たちや家族からは『お前の番組、コッチじゃ映らんしな』なんて言われてたんですよw」

と、嬉しそうに話していましたw

その横にいた某国営放送の方が、

「視聴者やファンが “怒り・裏切り” を感じれば、“逆風・炎上” につながり、“嬉しさ・楽しさ” を感じてくれれば “バズリ・追い風” につながるんだよなぁ」とつぶやく姿とともに印象に残った会話でした。

お客様、ユーザーやファンの想いをくみ取り、ポジティブな感情を抱いていただくこと。

仕事において、大切なことを学んだ出来事でした。

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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