第53回 多様性を認めることが「人が辞めない会社」への近道

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第53回 多様性を認めることが「人が辞めない会社」への近道

安田
人手不足が深刻さを増しています。採用コストは上がる一方なのに定着率は低いままで、困っている会社は非常に多いですよね。

渡邉
そうですね。定着率を上げようとしても、社員のモチベーションは簡単には上がらない。人材マネジメント自体が難しくなっているという声も耳にします。
安田

その一方で、全然困ってない会社もあるんですよね。採用も無理なくできて、今いる社員は自発的に成長して頑張ってくれているという。「人に困っている会社」と「困っていない会社」って何が違うんでしょうね?


渡邉

確かにそんな夢のような会社もあるにはありますね。そういうところは社員にしっかり利益を還元していたり、「この会社で働きたい!」と思わせる何かがあるんでしょう。

安田
待遇面が手厚いってことでしょうか。

渡邉
それも大事ですけど、それ以上に「これから成長しそうな雰囲気」を持っているかどうかが重要なんじゃないでしょうか。成長しているからこそ待遇をよくできるとも言えるわけで。
安田
なるほど。でもそれって言うほど簡単じゃないと思うんです。優秀な人を採用すれば業績も上がって待遇も改善できると思うんですが、優秀な人を採用するには報酬を上げないといけない。でも、あまりに報酬を上げすぎると会社を潰してしまうこともあるわけで。

渡邉
そうですね。なかなか判断が難しいところですよね。
安田
そうそう。採用か待遇改善かどちらを優先するべきかって、なかなか決められないですよ。

渡邉
それに定着率を上げる意識も重要ですよね。「人が辞めない会社」になれば人手不足になることもないわけで。
安田
それができればベストですけど、実際どうやったら「人が辞めない会社」になれるんでしょうか。

渡邉
「多様性」をいかに許容できるか、が一つのキーだと思いますね。今は働き方一つとっても、昔と違って選択肢がすごく増えています。そういう意味でも、いろんな考え方や価値観を内包できる懐の広さが重要なんだろうなと。
安田
うーん、そうなると「うちの会社の成長パターンはこれです」とキャリアステップが決まっている会社ほど難しいんじゃないですか? かといって、1人1人の個性に合わせて働き方や仕事内容を変えて、しかも正当に評価するってすごく大変で。
渡邉

それはそうですね。とはいえ、新たに人を採用する方が大変だと思うんですよ。採用してもようやく育ったと思ったら辞めてしまったりするし……

安田
ははぁ、確かに。その繰り返しから解放されると考えたら、1人1人違うものだと思って対応した方が楽なのかもしれませんね。長い目で見たらそちらの方がコスパがいいのかもしれないし。

渡邉
そう思います。その上で、会社と社員の利害関係を一致させることが大事ですよね。完全に一致させることは難しくても、少なくともその意思を持っていないと。
安田

「会社が儲かるだけじゃなく、ここで頑張っていたら自分の望む未来に近づいていくんだ」と社員も感じられる環境ということですね。


渡邉
そうですそうです。10年20年前だったら、雇う側に選択権があったのでそこまで気にしなくてもよかったんですけど、今はその逆で、むしろ働く側に選択権があるので。働く場所はいっぱいあるから、「自分の望む未来と一致しない会社」にいる意味がないんです。
安田

確かにそうですね。つまり「給料が高い」「休みが多い」といったわかりやすい待遇だけじゃなく、「1人1人にとっての居心地の良さ」を丁寧に作っていかないといけないということですね。


渡邉
仰るとおりです。その話で思い出しましたけど、僕もワイキューブ時代に「ドリームマネージャー」という本に出会って、マネジメントの仕方をガラっと変えたんです。そこからチームもうまく回るようになって。
安田

へぇ。どんな本なんですか?


渡邉

その本で提唱しているのは、「1人1人が自分の夢を叶えようと頑張れば頑張るほど、その組織が良くなる」ということなんです。僕も自分のチームメンバーのやりたいことが実現できるよう、サポートするようにしました。

安田

なるほど。それを実践したらうまくいくようになったと。でもその当時は仕事というと「給料をもらって時間を切り売りするもの」って感じでしたよね。嫌だけど仕方なくやらなきゃいけない、みたいな。


渡邉
そうですね。最近になってようやくその本が提唱していることに追いついてきた気がしますね。
安田

ははぁ、30年経ってようやく時代が渡邉さんに追いついてきたと(笑)。


渡邉
いやいや、本の受け売りですから(笑)。でもそれでいくと、最近の「働き方改革」はちょっとズレているんじゃないかと思うんです。「6時以降働くな」とか「70時間以上残業するな」とか、逆に選択肢を狭めてしまってる気がして。
安田

日本の制度は極端ですからね。ブラックな働き方をさせないために、全部を規制しちゃう。


渡邉

そうなんですよ。必要なのは制限ではなく「選択の自由」なので。これからは「型にはめない」ということが最優先じゃないかなと。

安田

ああ、確かに。「居心地の良さを感じるポイントが人によって違う」ということを理解できないと、ここから先は厳しくなっていくでしょうね。


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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