本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 |
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。 |
ここ5年ほど、商売をする上で外的環境の大きな変化を感じているオーナーは多いのではないでしょうか。
私自身、ここ5年でお店の収益構造を変えてこなかったら、現在まで店舗経営を続けてくることは難しかっただろうと感じています。
そして、そんな5年間の経験を振り返って思うのです。
「これだけ大きな変化が続くということは、今の状況を普通と捉えた方が良いんじゃないか?」と。
5年前までの変化の少なかった時期を普通と捉えるのか?
現在のように変化が連続する時期を普通と捉えるのか?
この問いに対する正解というものはないでしょう。
ただ、前者の捉え方の場合は現在のように変化が続く状況がマイナスに見えるのに対して、後者であれば少なからず平静を保ちつつ、目の前の変化に対応していきやすいように思います。
また仮に今後、以前のような変化の少ない時期が来たとしても、前者が元に戻ったという感覚なのに対し、後者は変化の少なくなった状況をプラスに捉えられるようにも思うのです。
つまり、後者の捉え方をした方が、変化にも対応しやすくプラスの面も多くなるのではないか、ということ。
私は過去に、テレビやネットでバブル崩壊後の不景気が続く状況を「失われた◯◯年」という表現をしているのを見る度に違和感を感じていました。
というのも、この「失われた」という捉え方こそ、過去の「景気の良かった時期が普通」で、当時の「景気の悪い状況が異常」と捉えていることの現れであり、そんな過去が戻ってくることを普通と捉える思考こそが改善を遅らせる原因となったような気がしてならないからです。
私自身、バブル期に社会人だった訳ではないため、正確なことは分かりません。それでも、バブルが崩壊した後を生き残ったのは、過去が戻ってくることを普通と捉えた会社ではなく、過去が戻ってこないことを普通と捉え、変化に適応した会社ではないでしょうか?
そう考えれば、私たちがいま置かれている状況も、過去と現在のどちらに「普通」の基準を置くのかが大切であり、この「普通」という基準の置き場所の違いが今後の業績を左右する要因の一つとなるのではないか、と私には思えるのです。
著者/辻本 誠(つじもと まこと)
<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/