第289回 追い込まれないと変われない国

この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。

第289回「追い込まれないと変われない国」


安田

ついに1ドル150円を超えましたね。

久野

この前為替介入しましたけど。まだまだ円安は続きそうです。

安田

日銀が3兆円くらい介入したと言われてますね。焼け石に水って感じですけど。

久野

もう周りが慣れてしまってるというか。厳しいですよね。根本的な金利差を解消しない限り解決しないんじゃないですか。

安田

でも金利は上げられないと言われてます。金利が高くなると国の借金が増えてしまうので。

久野

金利を上げたらインフレになるじゃないですか。インフレになると借金って返しやすくなるはずなんですよ。

安田

インフレになって円の価値自体が下がるから?

久野

そうです。実質的な借金が小さくなる。

安田

お金の価値自体が下がるってことですよね。

久野

そういうことです。物価に対してお金の価値が下がる。だから借金自体は返しやすくなるはずなんです。

安田

本当に返せるんですかね。そもそも返す気があるのかどうか。

久野

金利が上げられない理由としては「実体経済が思ったほど良くない」という日銀の判断だと思います。

安田

住宅ローンも上がりますからね。みんな家が買えなくなる。

久野

はい、家を買う人が少なくなるとか。そういうところが心配で上げられない。本当に経済が良くなっているという判断だったら金利も上げられるはずで。

安田

賃金は上がりつつあると言われてますけど。

久野

いや、思いのほか賃金がついてきていなくて。今、金利を上げると、さらに物の値段が上がってとんでもない不景気になる可能性があります。

安田

この1、2年で初任給は上がりまくってますけど。若手しか上がっていないということでしょうか。

久野

それもありますし実質賃金として下がってるんですよ。

安田

物価に対してってことですか。

久野

そう。手取りも減ってるし。この程度の賃上げでは全然ダメってことですね。

安田

じゃあ金利は上がらないという予想ですか。

久野

本来はプロレスみたいなもので。日銀が上げるんじゃないかと思うと「これはやばいぞ」「円をもっと買わなきゃ」ってなるはずなんです。

安田

なぜそうならないんですか。

久野

「どうせ一時的なものだろう」みたいにバレちゃってるから。

安田

あまりにも下手ですよね。「介入してません」とか言いながら、どう見たって介入してるし。焼け石に水で終わっちゃうし。

久野

介入は介入ですごく大事なことなんです。要はずっとマネーゲームになっちゃうので。「どっかで介入したらやばいよね」って思わせないと。

安田

とは言え介入し続けるわけにもいかないし。

久野

「そこまで徹底的にはやらないだろう」と思われちゃってますね。だから厳しい。

安田

結果的にまた円が下がっていくと。

久野

そうなんですよ。金利を上げない限り多分もう止まらない。1ドル200円ぐらいまではいくんじゃないのって言われてます。

安田

200円までいきますか!

久野

そういう意見が多いですね。

安田

基本的に日本って資源がない国ですよ。原材料もエネルギーも輸入が頼りなのに円安はまずいんじゃないですか。

久野

はい。国民の生活はどんどん厳しくなります。だけど円安を容認することによって輸出企業は儲かる。ここが難しいところで。生活は苦しいのに株価は上がってるじゃないですか。

安田

儲かってるのは一部だけですよ。

久野

でも日経平均ってほとんど輸出企業じゃないですか。

安田

そうですけど。その恩恵をほとんどの国民は享受できていなくて。

久野

海外で製造するので国内の企業が潤っていかないんですよ。自分で投資していくしかないですね。今は株が上がってるから。

安田

個人投資ですか。

久野

円で持っているとどんどん資産が減っていくので。

安田

これから日本の人口は5000万人ぐらいまで減っていくじゃないですか。1人当たりの生産性が改善されなければ国力はさらに落ちますよね。

久野

それはもう否めないと思います。

安田

輸入に頼る日本としては厳しい未来が待ってる気がするんですけど。

久野

いや、厳しいでしょう。ただ日本人は本当に追い込まれないと変わらないから。1回追い込むしかないのかもしれません。

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久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/  

安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

1件のコメントがあります

  1. 1ドル150円っていつの話ですか?
    情報が古すぎます。今141円ですよ。
    みんな見てるのでもう少しリアルタイムでお願いします。

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