第20回 まずは「お金を使う」こと。それが、経営がうまくいくコツ

この対談について

大阪・兵庫を中心に展開する、高価買取・激安販売がモットーの『電材買取センター』。​​創業者である株式会社フジデン代表・藤村泰宏さんの経営に対する想いや人生観に安田佳生が迫ります。

第20回 まずは「お金を使う」こと。それが、経営がうまくいくコツ

安田

これまでの対談でも何度か聞いてきましたが、改めて藤村さんにとって「経営」とはどういう仕事なのか、お聞きしてもいいですか?


藤村

そうだなぁ…自分の会社を「社会から選ばれる会社」にすること、ですかね。

安田

なるほど。「こういう会社が世の中にあってくれて良かったね」と言われるようになれれば、一番かっこいいですもんね。


藤村

そうです。逆に言うと「自分さえよければいい」という経営はアカンなぁと思っています。実際、僕の周りにも損得勘定だけで経営しているような人がいますけど。「そんなケチくさい経営しとっていいの?」と思いますね。

安田

なかなか厳しいご意見ですね〜(笑)。


藤村

社長さんの中には「今までずっと苦労してきて、ようやく会社が軌道に乗ったんやから、自分の好きに金を使って何が悪いんや」みたいな人もいますよね。でもそういう経営の仕方をしてても、絶対にその会社は伸びないと思うんです。

安田

確かに、そんな社長と取引したい会社も、下で働きたいと思う人もいなさそうですもんね。


藤村

そうですそうです。だから僕は、「藤村と出会えて良かったな」とか「この会社で働けたから自分の人生が変わったな」って思ってもらいたい。そう感じてくれる人がたくさんいる組織にすることが、会社がうまくいくコツだと思っています。

安田

なるほどなぁ。私は常々「経営者はお金を使うことが仕事だ」と言っているんですが。藤村さんは、何を意識しながらお金を使っています?


藤村

昔の僕はまさにそこに悩んでいたんですよ。「上手なお金の使い方」って、いったいどういうことなんやろ、と。そんな時、安田さんの「お金はまず使いまくる。そうすれば使い方が上手になる」という言葉に出会いまして。

安田

私が言ったこと、全部覚えてくださっているんですね(笑)。ありがとうございます(笑)。ただ私はお金の使い方が全く上手ではないんですよ。持っている以上のお金を使って会社を潰してしまった人間なので…(笑)。


藤村

いやいや、それでも僕にとっては「腑に落ちる言葉」だったんです。それ以来、僕が経営的な判断をする時は、いつも安田さんのその言葉を拠り所にジャッジしています。

安田

そうなんですか。そこまで言われるとちょっとプレッシャーですけど(笑)。例えばどんな風にジャッジするんですか?


藤村

直近であれば、9月にオープンした『電材買取センター 埼玉蓮田店』も、この先2年は絶対に赤字だとわかってるんです。でも「まずはお金を使ってみよう」という安田さんの教えに忠実に、とにかく始めちゃおうと。

安田

なんと…(笑)。でもそれは、3年目からは黒字になると考えたからでしょう? つまり2年間の赤字は悪い赤字ではないと踏んだ。


藤村

あぁ、確かにそうですね。そういう意味では投資って全部そうなんですよね。売れば売るほど赤字になる特大セールも、それによって知名度が上がってお客さんが増えることを見越した投資です。つまり悪い赤字ではない。

安田

そこなんですよ。そういうバランス感覚の良さが、今の好調な経営スタイルにつながってきている気がするんです。


藤村

お〜嬉しいです。ありがとうございます! でも僕がこういう経営ができるのは、僕が想像もしたことないような「ありえない発想」を、安田さんからいっぱいいただいているからで。だから僕の「経営観」は、ほぼ安田さんによって作られたとも言える(笑)。

安田

ありがとうございます(笑)。でも確かに、「自分の価値観」だけでお金を使っているより、いろいろな人の意見や視点を踏まえた使い方ができた方が、会社は大きくなる気がします。


藤村

仰るとおりです。それこそ自分の経営観に固執して、「自分さえよければいい」という経営をしていたら、いつか社員から仕返しされると思います(笑)。

安田

うんうん。「仕返し」の最たるものが「社員が辞めていくこと」ですよ。社員に去られた社長って、本当に惨めなもんですよ。


藤村

社長1人では何もできませんからね。

安田

ええ。私も会社を潰してしまった時に、「今までは社員のみんなのおかげで生活できていたんだなぁ」と痛感しましたからね。


藤村

ありがたいことに今は経営もうまくいっていますが、お金を持ったからといって「俺は成功者なんや」と調子に乗らないように気をつけないとアカンなと思っています。だからこれからも社員が喜ぶような決断ができる会社経営をしていきたいですね。

安田

いやぁ、素晴らしいですね。藤村さんのような考えを持った経営者のもとで働きたいと考える人、これから絶対増えていくと思います!

 

 


対談している二人

藤村 泰宏(ふじむら やすひろ)
株式会社フジデンホールディングス 代表取締役

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1966(昭和41)年、東京都生まれ。高校卒業後、友禅職人で経験を積み、1993(平成5)年に京都府八幡市にて「藤村電機設備」を個人創業。1999(平成11)年に株式会社へ組織変更し、社名も「株式会社フジデン」に変更。代表取締役に就任し、現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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