このコラムについて
「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。
本日のお作法/だれもやったことのないこと
大手であっても採用、特に「若手層の採用」が簡単ではない昨今ですが、先日、「採用絶好調!」と噂される某大手さんの「就活生向けセミナー」にご一緒させていただきました。
壇上に立った「人事のAさん」は、開口一番、こんな話をなさったのです。
「『誰もやったことのないことをやりたいんです』と語る学生さん、本当に多いんですよ」
「でも正直に言うと、私はまだ『誰もやったことのないことを成し遂げた人』に、お会いしたことがないんです」
会場がちょっとざわっとしました。
「自分だけのオリジナル」を夢見る若者は、年々増えているのだそうです。(ワタクシのような50代ベテラン層にも増えているように感じますが、、)
「『みんなと一緒は嫌だ』『その他大勢とは違う自分でいたい』その気持ちは素敵です」
「でも世の中に、『完全に新しいこと』なんて、そうそう転がっていないんです」
Aさんは、ゆっくりと会場を見渡して、また言葉を続けます。
「お聞かせいただく学生さんのエピソードにしても『似たようなモノ』が多いように感じます」
「途上国に留学しました」
「3カ国語を話せます」
「ワインと日本酒のソムリエ資格を持っています」
「弁護士試験に一発合格しました」
「学生起業で取締役をしています」
「もちろん、どれも立派です。けれど、『誰かがすでにやっているコト』でもありますよね」
「だから弊社では、『人と違う』とか『誰もやったことがない』なんてことは、全く気にしていません」
「大事なのは、『自分がやりたいことをやったのか』です」
「今、やりたいことが見えている人もいれば、見えていない人もいるでしょう」
「ですが、明日ふっと見つかることだってありますし、働く中で変わっていく人だっているでしょう」
Aさんは、少し肩の力を抜くように笑いながら続けます。
「そういう『まだ分からない人』も、『もう見つけている人』も、ウチなら一緒に仕事や人生を味わえるし、『味わい』を見つけていけると思っています」
「『やりがい探しよりも今を味わう』。ぜひ、弊社を味わってみてください!」
「誰もやったことがないこと」じゃなくてもいい。
大事なのは「自分がやる」と決められるかどうか。
その「小さな決心」を、そっと「支えられる場所」を選ぶこと。
何やら、「人が集まる理由」の一部を味わわせていただいたのであります。