このコラムについて
「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。
本日のお作法/冷静と情熱のあいだ
某大手さん、「若手向けキャリア研修」では、各グループに「ベテラン社員」が一人ずつ入り、若手と対話する“クロストーク形式”をとるのが特徴です。
あるグループでは、Aさんが静かに語ります。
「昔は、徹夜してなんぼ、休み返上でなんぼって時代やった」
「でも今思えば、健康を犠牲にしてまでやることやったんかなって、正直思うわ…」
一方、別のグループではBさんが目を輝かせて言い切ります。
「仕事こそが人生の醍醐味だよ」
「何十年もやってきたからこそ言える。一つのことを突き詰める面白さ、それを味わってほしい!」
およそ真逆の仕事観。
若手さんたちはといえば、「Aさんの言う“ほどほど”の方がリアルよな」と冷静にうなずく人もいれば、「Bさんみたいに熱くなれる仕事に出会えたらいいよな」と目を輝かせる人も。
そんな研修の終了後に、ある若手さんがぽつり。
「Aさんの言葉、安心しました」
「頑張りたいけど、正直“全部仕事に捧げろ”って言われるとしんどいなと思ってて…」
また別の若手さんは、やや困ったように笑いながら、
「Bさんの話、熱くて素敵やなって思います」
「でもあの温度感、自分には出せそうにないかも…って」
一方で、両者の話を聞いたうえでこう話す若手さんも。
「自分の働き方は、これから試行錯誤で決まっていくものなんですね」
「“どっちか”じゃなくて、自分なりの生き方を探したいです」
正解がないのが、キャリアの難しさであり、面白さ。
ベテランたちのこれまでの苦楽が若手たちに「今後を考えるきっかけ」を届けていたようなのでありました。


















