第304回 “禿頭”に憧れた少年たち

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/“禿頭”に憧れた少年たち

 

サッカー界の“新旧スター”のお話。

スペインの“若き英雄・ペドリ”は同国に初のワールドカップをもたらす決勝ゴールを決めた“英雄・イニエスタ”に、

そして、現在“世界No.1プレイヤー”の呼び声高いフランスの“若きレジェンド・エンバペ”は史上最高のファンタジスタの呼び声高い同国の“英雄・ジダン”に、

それぞれ、幼少期から「強い憧れ」を抱いていたというのは、サッカーファンには有名な話です。

レジェンド二人の髪型は“禿頭”でしたが、そのスタイルまでを「真似したい!」と散髪屋でオーダーするほどの強い想いを持った若き二人は、やがてアイドルが活躍した“憧れのクラブ”へと自身を導き、尊敬する英雄たちと比較されるほどの「大活躍!」をしているのであります。

“夢や憧れ”は、“進むべき道を照らしてくれることがある”という素敵なストーリーですよね。

大手メーカーのある若手さんからも、そんな“憧れ”の話をうかがいました。

高校時代。2学年上の先輩に憧れを抱いたAさんは、先輩と同じ大学への進学を目指しましたが、残念ながらその夢は叶わず。。

それでも数年後に参加した就活セミナーで、偶然にも訪問企業の紹介を熱く語っていたのが、憧れの先輩Tさんだったのです。

今回は、“憧れの先輩”と同じ会社への入社が叶い、職場で“嬉しい再会”を果たしたのです。

今では、“営業職の先輩”“開発職の後輩”として、お互いの視点を活かしながら、新規事業に取り組んでいるのです。

ふたりが関わっているのは、近年注目が高まるペット市場向けの新ブランド。

立ち上げ以降、商品の開発だけでなく、“保護ネコ支援”を目的としたプロジェクトも始めたり、商品寄贈キャンペーンや譲渡会への参加、ペットメディアとの連携など、“社会的な活動”にも積極的に取り組んでいるようです。

事業はゼロからのスタート。現場の声を聞くため、ふたりは広報担当とともにメディアを訪問し、保護活動の実情や、猫との出会いの多くが保護・譲渡経由であることを知ったといいます。

「共感をどう生み出すか」、ふたりは“対話”を重ねまくったとのこと。

お客さまとの“接点づくり”は、今や機能訴求だけでは難しい。“背景や想い”を伝え、“共感”を得てこそ選ばれる。

その考えが、今の彼女たちの“仕事の軸”になっているのでしょう。

“憧れがつないだご縁”が、今は“共感を届ける力”になっている。

キャリアとは、時に想像もつかない“巡り合わせ”で進んでいくものなのであります。

 

著者の他の記事を見る


 

高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

感想・著者への質問はこちらから