地元国立大学を卒業後、父から引き継いだのは演歌が流れ日本人形が飾られたケーキ屋。そんなお店をいったいどのようにしてメディア取材の殺到する人気店へと変貌させたのかーー。株式会社モンテドールの代表取締役兼オーナーパティシエ・スギタマサユキさんの半生とお菓子作りにかける情熱を、安田佳生が深掘りします。
第92回 物価上昇で本当に損しているのはお金持ち

お金自体が「もっとも価値のあるもの」になっちゃったわけですね。でも、僕は飲食業をやっているからちょっとわかります。物は時間が経つと古くなったり腐っていっちゃいますけど、お金は腐りませんから(笑)。

なるほど、確かに(笑)。ちなみにスギタさんの世代だとあまりピンと来ないかもしれませんが、昔は「金本位制」といって、1ドルが金何グラムと決まっていて、地球上にあるお金は、金と交換できる分だけしかなかった。

そうそう。たださっきも言ったように、既に実体経済の何百倍ものお金が存在してしまっている。つまり、もしお金持ちの人たちが一斉にお金を使おうと思っても、それに見合うだけの物やサービスは世の中にないってことですよ。

どこかで多くの人類が「お金なんて価値がない」とか「お金をもらうためには働かないぞ」となるくらいの大変化が起きない限り、このまま進んでいくんでしょうね。誰しも自分が持っている貯金の価値は信じていたいでしょうから。

現実的にそうですよね。そういえばうちの社員も「お金欲しいお金欲しい」ってよく言うから、「1億円あったらどうするの?」って聞いたら、「もちろん貯金します」って(笑)。じゃあ別にいらないんじゃないの? なんて思ったりするんですけど(笑)。

そうなんですが、先ほどの理屈から考えれば、やっぱりお金持ちの方がダメージは大きいんですよ。それなのに、資産を持たない人たちが「インフレ=絶対悪」だと思い込まされている。これはある種の呪縛かもしれません。

どうしてもそう感じてしまいますけど、結局、お金自体はもう紙切れですらないただのデータだと割り切ることも大事なんでしょう。PayPayで「ピッ」とするだけで決済ができてしまう。実体が何もないんですよ。
対談している二人
スギタ マサユキ
株式会社モンテドール 代表取締役
1979年生まれ、広島県広島市出身。幼少期より「家業である洋菓子店を継ぐ!」と豪語していたが、一転して大学に進学することを決意。その後再び継ぐことを決め修行から戻って来るも、先代のケーキ屋を壊して新しくケーキ屋をつくってしまう。株式会社モンテドール代表取締役。現在は広島県広島市にて、洋菓子店「Harvest time 」、パン屋「sugita bakery」の二店舗を展開。オーナーパティシエとして、日々の製造や商品開発に奮闘中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。


















