人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第108回 「働きたくない」はまともな感覚である

そこで紹介されていた文章を読むと、決して怠惰なわけではなく、むしろしっかり考えて生きている人にしか書けないような内容だったそうで。私も常々思うんですが、「仕事はやりがいがあって楽しいよ」と一周回って到達したならいいんですが、何も考えずにただ働いている人も多いじゃないですか。

ああ、本当に仰るとおりだと思います。私自身は働くのが好きですし、仕事とプライベートが溶け合っているようなタイプですが、だからこそ「働くこと」に対して悩み、苦しんでいる人たちの生の声にはハッとさせられました。

そうなんです。ただ、そんな理不尽なことに耐えられない人の方が、生物としてまともなんじゃないかとよく考えるんですよ。藤原さんの文章に「働きたくないというのはまともに生きている人の感覚である」とあって、すごく救われた気がしました。

そもそも人間って、一人ひとりの適性に応じた役割があるはずなんですよ。力のある人は力仕事を、手先が器用な人は裁縫を、というように。でも会社というシステムは、先に「こういう仕事で9時から5時まで」という枠があって、そこに人間を無理やり押し込んでいく。

たまたまその型にハマった人はいいですが、条件だけで働き始めた人が「働くって何だろう」と疑問を持つのは当たり前です。むしろ、圧倒的多数の人がそこに疑問を持たずに働き続けていることの方が、私には怖く思えるんです。

ええ。でも文学フリマで出会った本たちからは、そういった社会のレールや「答えのない問い」に向き合い続けている熱量を感じました。いい大学を出ても就職をしなかったり、フリーターになったりして葛藤している人たちです。

私も最近ネットで『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』という本を読んだんですが、まさにそういう「疑問を払拭できずにちゃんと生きられなかった物語」が詰まっていて。

読めば読むほど暗くなるんですけどね(笑)。でも考えてみれば、宇宙の中に地球が浮いていること自体が不思議だし、我々が存在していることも奇跡みたいなものじゃないですか。生きていればいろんな疑問が湧いてくるのが当然で。

でもそんな疑問を抱えながらも、今日の晩ご飯を作らなきゃいけないし、家賃も払わなきゃいけない。この「宇宙的な不思議」と「日々の生活」の狭間に挟まれて生きている状態こそが、人間の深みであり、私が大好きな部分なんです。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。


















