「すべての人は、すごい可能性を秘めている」と信じる大野と、「多くの人は目的などなくただ存在しているだけ」と断ずる安田。人間の本質とは何か。人は何のために生きているのか。300文字限定の交換日記による言論バトル。
97通目/安田からの返信
「怖さと最上の喜びと」
確かに人との出会いは大事ですね。私は新卒採用によってかなり人格が変わりました。最初は「いつか社員ごと売りとばしてやるぞ。ケケケケケ」って感じだったんですけど。でも私を信じて入ってくる新卒と接しているうちに「これは裏切れないぞ」という思いが強くなっていきました。けっきょく人は人によってしか変われないのかもしれません。「この人のために」と思える人がいるのかどうか。それが生き方を決定づけていく。ラッパもクラリネットも誰をどういう気持ちにさせたいのかで、奏でる音色は変わりますから。絶対に失いたくない。絶対に不幸にしたくない。そういう人との出会いは怖くもあり最上の喜びでもあります。
前回96通目/大野「この人の為にもっとましな自分に少しでもなりたい。」
喩えになっているか分かりませんが、「テメェ、この野郎!どこ見てやがる」と直ぐに喧嘩する様な気性の荒い男が、街中から、四角いリングに場所を変えれば、根っこは変わっていませんが、人生が大きく変わります。又、以前も触れましたが、ラッパとして生まれてきたら、その後、どう努力してもクラリネットにはなれません。ただ、ラッパの鳴り方、何に響くのか?どんな曲を奏でるのか?誰を支持する音色なのか?は選べます。勿論技術も含めて成長し、やがては円熟して行くのではないでしょうか。鍵は思考の習慣づけ。そして実はもう一つあります。出会いです。この人の為にもっとましな自分に少しでもなりたい。そう思わせてくれる人との出会い。
ー大野より
前々回95通目/安田「根こそぎ引っ越しできるのか?」
なるほど。思考の住まいは引越しすることが可能だと。これは面白い考察ですね。確かに私は人生の中で大きく価値観が変わりました。性格も変わったと思います。私は物心ついた時にはすでに性格の悪い人間だったのです。迷子など他人の不幸は心から喜んでいましたし、学校でも嘘ばかりついていました。でもさすがにそこまで性格が悪いと生きにくい。それで仕方なくいい人を演じ続けたわけです。とくに社長になってからは責任感と人間性を演じ続けてきました。そして気がついた時にはちょっといいやつになっていたのです。そう考えると思考の住まいは変わるのかもしれません。でもどこかで「根っこは変わってない」という気もするんですよね。
ー安田佳生より
交換日記をする二人
●火曜日
安田佳生(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。
2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。
●金曜日
大野栄一(おおの えいいち)
株式会社一番大切なこと 代表取締役
https://ichibantaisetsunakoto. com
https://www.sugoikaigi.jp/coach/eiichiono/