人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第109回 資本主義の皮を被った「資本家主義」の正体

藤原さんはメルマガの中で「資本主義」と「資本家主義」という言葉を使い分けていますよね。藤原さんの中では別のものなんですか?

そうですね。きれいに切り分けられるわけではないのですが、「資本家主義」は「資本主義」の延長線上で生まれたもの、というイメージです。そもそもの話、「資本主義」というシステム自体は、ある種平等なものじゃないですか。

ええ。ただそこで、「資本家」たちの都合のいいように社会のルールを作り変えてしまった状態、これを私は「資本家主義」と呼んでいるんです。利他的な人がお金を持って、それを社会に貢献する形で循環させられればよかったのですが、現実はそうならなかった。

お金の発明そのものには功罪ありますけど、メリットもかなりありますよね。例えば物は放っておくと腐りますけど、お金は腐らない。それによって物々交換の不便さが解消されて、人間社会が豊かになったのは紛れもない事実ですから。

ルールも大事ですけど、基本は市場に任せておけば、いい物が売れて、価格も丁度いいところに落ち着く。儲かりそうなら別の資本家が参入してくるし、作りすぎて余れば価格が下がる。その競争原理自体は、とても健全だという気がするんです。

そこは私も同感です。市場原理そのものは素晴らしい。ただ一度資本を持つと、そうでない人との間には固定された上下関係ができてしまう。そして今のネット社会になってからは、その関係がさらに強固になっているじゃないですか。

そう思います。歴史を振り返ってみると、かつてヨーロッパには王族や貴族がいて「ノブレス・オブリージュ(高貴なる者の義務)」という考えがあった。生まれながらに恵まれているからこそ、自分の力やお金を見返りを求めず、持たざる者のために使うのが当然だとされていた。

ええ。でも産業革命以降、急速に富を得た「ブルジョワジー」たちが力を持つようになった。貴族のような「義務」の教育を受けていない彼らを中心に、お金さえあれば利己的な欲求を満たしていい、という風潮が強まったんです。

そう考えると、もう皆自分で勉強して、小さくても自分の得意なことで商売した方がいい気がしますね。でも世の中には「独立なんてリスクだ」「大きな会社にいたほうが人生安泰だ」という空気がまだまだ強い。独立を煽ると、すぐに「情報商材を売ろうとしている悪い奴だ」とか言われたりして(笑)。

確かにそこは問題ですよね。誰しも「会社員にならなくても困らないぐらい稼ぐ力」を持つことは可能なはずなんです。フリーランスやひとり社長など、選択肢はいろいろありますし。それを理解した上で「自分には会社員が向いている」と選ぶならいいと思うんですよ。

ええ。でも戦後の教育は、むしろその選択肢を見えないようにしてきたわけです。「独立は危険だ」と刷り込むことで、優秀な労働者を企業に留めておこうとする。それによって、「本当は会社員じゃないほうが向いている人」まで残ってしまっているなら、解放していったほうがいい気がしますね。

仰るとおりです。ただ、会社という組織を抜けたからといって、結局は巨大資本が作ったプラットフォームの上でビジネスをするわけですから、完全な自由ではないかもしれません。でも少なくとも「資本家主義」の都合のいい駒として生きるよりは、はるかに自由度は高いと思います。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。


















