人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第110回 ラグジュアリーブランドという「植民地政策」

前回、昔の貴族や王様の話が出ましたが、ラグジュアリーブランドの歴史もそこに関係していますよね。元々は王族のような特権階級のためのものだったのが、産業革命が起きて、商売で成功してお金を持った一般市民も買えるようになった。

ええ。いわゆるブルジョワジーですね。

確かに。でも今のブランドビジネスを見ていると、ターゲットは完全に「アジアの成金」ですよね。どのブランドも青山や銀座に立派な店舗を構えてますけど、日本や中国、東南アジアの人たちが一番の「カモ」にされているんじゃないかと思ってしまいます。

そうそう。ただ、広告にはスレンダーな欧米のモデルを使っているのに、実際にお店に来るのは全然違う層なわけじゃないですか。この間もカルティエのお店の前を通ったら大行列ができていて、オープン前に「今日買えるのはここまでです」って整理券が配られていたんですよ。

そうなんです。並んでいるのは中国人や東南アジアの、最近稼げるようになった人たちばかり。でも広告に出てくるのは美しい白人女性。つまり「これを身につければ、広告の中の彼らのようになれる」という幻想を売っているわけですよね。

そうですね。ブランド側もビジネスですから、規模が拡大すれば店舗代や人件費といった固定費も増えます。そうなると「わかる人だけに売る」なんて悠長なことは言っていられない。マーケットが大きいところにプロモーションをかけるのは当然ですが、その結果として「高貴なラグジュアリー」が大衆化してしまったのは否めないですね。

LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)のような巨大グループによるコングロマリット化が進んで、職人のこだわりよりも「ロゴが目立つこと」が優先される商品も増えましたよね。

いわゆる「ロゴドン」ですね。

やはり人間にはどこかに自己顕示欲がありますから、そこを巧みに刺激してくるわけです。かと思えば、その逆を行く「クワイエット・ラグジュアリー」が流行ったり、トレンドを絶えず変化させることで、消費者の購買意欲を煽り続けているんです。

ははぁ、なるほど。そういえばこの間ダウンジャケットを買ったんですけど、モンクレールとか10年前に比べたら価格が2〜3倍になっていて。でも品質が上がったわけじゃないんです。結局は目立つところに入ったロゴと、「私はこれを着ているんだ」という価格が上乗せされている。

高くなるべくして高くなっているということですよね。全く同じものがどんどん値上がりしていくのに、逆にお金持ちは「値段が下がらないから」といって投資も兼ねて買っていく。本当によくできたビジネスモデルですよ。ある意味で現代の「植民地政策」みたいだなと。

まだ十分な富や文化基盤を持っていない国の人たちに、「いつかあれを買うのが成功の証だ」と憧れを植え付ける。そしていざお金を持ったら、そのブランド品を売って富を回収する。植民地から富を吸い上げるのと構造は一緒ですよ。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。


















