GlobalPicks 〜海外の情報を読み解いて、ビジネスに付加価値を投薬する方法〜 著者:小出 紘道
引き続き、Lighthouseという欧米のホテルマネジメントサービスが「ホテル&ホスピタリティ業界の動向」をまとめている記事がビジネス的に参考になりそうなので、読んでみたいと思います。
今週の記事はこれ。
The top 10 travel and hospitality trends that will shape 2025
(2025年に表出するホスピタリティのトレンドトップ10)
https://www.mylighthouse.com/resources/blog/top-10-travel-and-hospitality-trends-2025
トップ10のトレンドは下記の通りです。
1.Consumer caution continues into 2025, but the desire to travel remains
2.Optimism grows for Asia-Pacific hoteliers amid rising travel demand
3.India’s luxury hotel sector: A star on the rise
4.The steady advance of short-term rental growth
5.The evolution of event-driven travel: New patterns emerge
6.The rise of authentic travel beyond tourist hotspots
7.AI adoption will transform Revenue Management
8.The rise of Total Revenue Management and the search for ancillary revenue
9.Personalization will be the new standard in 2025
10.The distribution landscape in 2025, one of evolving challenges
引き続き「4.The steady advance of short-term rental growth」を見ていきたいと思います。
4.The steady advance of short-term rental growth
短期レンタルの着実な増加
Despite efforts in recent years to curb the rapid growth of short-term vacation rentals in some locations there was little indication in 2024 that supply expansion is slowing down overall.
Our data tells a compelling story: across nearly global 500 markets, total supply grew by 13% from October 2023 to October 2024.
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近年、一部の地域では短期バケーションレンタルの急激な増加を抑制する取り組みが行われているが、2024年には全体的に供給拡大が減速している兆候はほとんど見られなかった。
当社のデータは説得力のあるストーリーを物語っている。ほぼ全世界の500市場において、総供給量は2023年10月から2024年10月にかけて13%増加した。
short-term vacation rentals(短期のバケーションレンタル)とは何か?をAI概要で見ると
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バケーションレンタルとは、別荘やコンドミニアム、一軒家などの住宅を、休暇中に旅行者などに短期間貸し出す宿泊形態のことです。ホテルとは異なり、キッチンや洗濯機などの設備が整っているため、自宅のようにくつろいで滞在できるのが特徴です。
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ということです。
火付け役としてはコロナ前に広がった「Airbnb(エアビーアンドビー)」が有名ですね。
この短期バケーションレンタルに対して「規制する動き」が活発化しているにも関わらず、2024年以降も引き続き成長しているようだ、という主旨です。
世界の都市別の「伸び率」が下記のようになっています。
Paris saw a particularly dramatic surge, with listed properties rising by 47%, driven by owners eager to capitalize on demand from the 2024 Olympics. Other fast-growing markets included Dubai (39%), Marrakech (29%), São Paulo (28%), and Rio de Janeiro (23%), reflecting Latin America’s strong performance in overall travel demand growth.
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特にパリは、2024年オリンピックの需要を取り込もうとするオーナーの熱意により、上場物件が47%増加し、劇的な急成長を遂げた。その他の急成長市場には、ドバイ(39%)、マラケシュ(29%)、サンパウロ(28%)、リオデジャネイロ(23%)などがあり、全体的な旅行需要の伸びにおけるラテンアメリカの好調ぶりを反映している。
2024年実績としてパリが伸びているのはオリンピック需要なので特殊要因かも知れませんが、他の主要各都市でも引き続き順調に伸びていることが明らかです。
特にドバイ(UAE)、マラケシュ(モロッコ)、サンパウロ(ブラジル)の伸びはすごいですね。
アジアの都市を見ると、ソウル(韓国)とマニラ(フィリピン)の伸び率が高いです。
日本の都市はこのランキングに入っていません。その理由を探そうとしましたが実際よくわかりませんでした。
「供給量の総量が小さいからデータ除外」だからか、「本当に伸び率が高くない」のか、「データが無かった」のか、のいずれかだと思います。
日本での短期バケーションレンタルが伸びていないのだとすると、「行政の規制」または「ホテル業界が強い」ことが考えられますね。
もしかしたら「ホテル業界自体が強い」というよりは、通貨が安い(円安)から「日本人から見たら高価なホテルでも、旅行者から見ると比較的割安に見える」ことが要因かも知れませんね。よって、「エアビーよりも普通の高級ホテルで全然OK」となっている旅行者が多いのかな、と。
本業ビジネスでは「マーケティング&戦略コンサル」の仕事と、「高付加価値情報提供サービス」の仕事をしています。本コラムは後者の「高付加価値情報提供サービス」の初級編としての入り口となればいいな、と思ってます。世界の誰かが”既にかなり研究したり、結論を出している”にも関わらず”日本では流通していない数値情報や文字情報”がたくさんあります。それらの情報を、日本のマーケットにフィットするように編集・分析すれば「競合他社」や「競合他者」を出し抜ける可能性が高まります。法人向けのサービスとなっていますので、詳細はFace to Faceでお伝えしますね。
小出紘道 (HIROMICHI KOIDE)
◆株式会社シタシオン ストラテジックパートナーズ 代表取締役社長 http://citation-sp.co.jp
◆株式会社シタシオンジャパン 取締役会長 http://www.citation.co.jp
◆株式会社 イー・ファルコン 取締役 http://www.e-falcon.co.jp
<いわゆる経歴>
・2000年 株式会社東京個別指導学院に新卒で入社して、11ヶ月だけ働いてみた(→早めに飽きた) ・2001年 イギリスに行って、University of Londonで経済と国際関係を学んだり、Heriot-Watt Universityで経営学(MBA)をやってみた(→めちゃくちゃ勉強した)。この間に、イギリス人の友人とロンドンで会社を作ってみた(→イマイチだった) ・2003年 シタシオンジャパン社でマーケティングをやり始めてみた(→ろくにエクセルも使えなかった) ・2007年 シタシオンジャパン社の代表取締役社長になって経営をやってみた(→やってみてよかった) ・2018年 シタシオンジャパン社の社長を仲間に託し、引き続き会長としてコミットしつつも、シタシオンストラテジックパートナーズ社を設立してみた(→今ここ)
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