GlobalPicks 〜海外の情報を読み解いて、ビジネスに付加価値を投薬する方法〜 著者:小出 紘道
引き続き、Lighthouseという欧米のホテルマネジメントサービスが「ホテル&ホスピタリティ業界の動向」をまとめている記事がビジネス的に参考になりそうなので、読んでみたいと思います。
今週の記事はこれ。
The top 10 travel and hospitality trends that will shape 2025
(2025年に表出するホスピタリティのトレンドトップ10)
https://www.mylighthouse.com/resources/blog/top-10-travel-and-hospitality-trends-2025
トップ10のトレンドは下記の通りです。
1.Consumer caution continues into 2025, but the desire to travel remains
2.Optimism grows for Asia-Pacific hoteliers amid rising travel demand
3.India’s luxury hotel sector: A star on the rise
4.The steady advance of short-term rental growth
5.The evolution of event-driven travel: New patterns emerge
6.The rise of authentic travel beyond tourist hotspots
7.AI adoption will transform Revenue Management
8.The rise of Total Revenue Management and the search for ancillary revenue
9.Personalization will be the new standard in 2025
10.The distribution landscape in 2025, one of evolving challenges
引き続き「5.The evolution of event-driven travel: New patterns emerge」を見ていきたいと思います。
5.The evolution of event-driven travel: New patterns emerge
イベント主導旅行の進化:新たな傾向が浮上
Our 2025 data reveals a more nuanced picture. While event-driven travel remains robust, hotel pricing dynamics are shifting. Events that drove premium hotel rates in 2022-2023 are showing signs of price stabilization.
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2025年のデータはより複雑な状況を浮き彫りにしています。イベント駆動型旅行は依然として堅調ですが、ホテル料金の動向は変化しています。2022年から2023年にプレミアムホテル料金を牽引したイベントは、価格の安定化傾向を示しています。
近年「イベント目当て」で旅行に行くというのが大きなトレンドになっています。
2024年までは「イベントがあると、周辺ホテルが高すぎて泊まれない」という状況があらゆるイベント界隈で発生していました。
その流れが2025年には潮目が変わってきていて「イベントがあってもそこそこの価格でホテルは確保できる」ようになってきている、とのことです。
ただ、これは「平均値」を見たときに価格が安定化しているだけで、中身をよく見てみると「いまだにプレミアム宿泊価格になってしまうイベント」と「むしろ価格が下落傾向になっているイベント」が存在するようです。
本文中には「F1グランプリ」「その他モータースポーツ」「ゴルフ」や「お花見系のイベント」における価格下落傾向が示されていて、その中に「Kyoto Cherry Blossom Festival: -24%(京都のお花見祭り(24%下落)」というのがあります。
Standouts include the Eurovision Finals in Basel, where room prices have surged to over double their usual levels, reaching $472.
While Taylor Swift’s record-breaking Eras Tour has concluded, the demand for concert-driven travel remains strong. Oasis appears to have picked up the baton, driving significant hotel price increases over their concert dates, though not to the same extent as superstar Swift.
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テイラー・スウィフトの記録的な「エラス・ツアー」は終了しましたが、コンサートをきっかけとした旅行の需要は依然として堅調です。オアシスはスウィフトに続き、コンサート日程中にホテル料金の著しい上昇を牽引していますが、スウィフトほどの規模ではありません。
音楽コンサート周辺のホテル需要は変わらず上昇基調を続けていて、言わずと知れた「テイラー・スウィフト」需要や「オアシス」需要は以前と変わらず大きいようです。
要するに「イベントやカテゴリによってホテル価格へのインパクトの有無が表れ始めている」ということですね。
This divergence highlights a more nuanced picture for event-driven travel in 2025. While some events may have diminished in their ability to drive up accommodation pricing, destination-specific cultural experiences and unique events – such as the Oasis concerts – are demonstrating strong resilience.
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この乖離は、2025年のイベント駆動型旅行のより複雑な状況を浮き彫りにしています。一部のイベントは宿泊料金の値上げを促す能力が低下している一方、目的地固有の文化体験やユニークなイベント(例えばオアシスコンサートなど)は強い回復力を示しています。
イベントがあるから「とりあえず価格をプレミアム価格にしておけばOK」という単純な戦略は通用しなくなってきている、という示唆でした。
本業ビジネスでは「マーケティング&戦略コンサル」の仕事と、「高付加価値情報提供サービス」の仕事をしています。本コラムは後者の「高付加価値情報提供サービス」の初級編としての入り口となればいいな、と思ってます。世界の誰かが”既にかなり研究したり、結論を出している”にも関わらず”日本では流通していない数値情報や文字情報”がたくさんあります。それらの情報を、日本のマーケットにフィットするように編集・分析すれば「競合他社」や「競合他者」を出し抜ける可能性が高まります。法人向けのサービスとなっていますので、詳細はFace to Faceでお伝えしますね。
小出紘道 (HIROMICHI KOIDE)
◆株式会社シタシオン ストラテジックパートナーズ 代表取締役社長 http://citation-sp.co.jp
◆株式会社シタシオンジャパン 取締役会長 http://www.citation.co.jp
◆株式会社 イー・ファルコン 取締役 http://www.e-falcon.co.jp
<いわゆる経歴>
・2000年 株式会社東京個別指導学院に新卒で入社して、11ヶ月だけ働いてみた(→早めに飽きた) ・2001年 イギリスに行って、University of Londonで経済と国際関係を学んだり、Heriot-Watt Universityで経営学(MBA)をやってみた(→めちゃくちゃ勉強した)。この間に、イギリス人の友人とロンドンで会社を作ってみた(→イマイチだった) ・2003年 シタシオンジャパン社でマーケティングをやり始めてみた(→ろくにエクセルも使えなかった) ・2007年 シタシオンジャパン社の代表取締役社長になって経営をやってみた(→やってみてよかった) ・2018年 シタシオンジャパン社の社長を仲間に託し、引き続き会長としてコミットしつつも、シタシオンストラテジックパートナーズ社を設立してみた(→今ここ)
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