このコラムについて
世の中の情報は99%が「現在」または「過去」のものでしょう。たった1%の未来情報をつかめる人だけが、自分のキャリアやビジネスを輝かせるのです。でも、未来情報なんか手に入らないよ!と思ったアナタ。ご安心を。もしアナタが古い体質の会社に勤めているなら超ラッキー。そんな会社の経営者ならビジネスがハネるかも。
未来コンパスが、あなたの知らない未来を指し示します。
ー 第69回 「1984」
スマホに接続できるカメラ付きインターホンが少しずつ普及しているようです。いわゆるIoTインターホンです。
意匠登録されている下記のインターホンは、訪問者がボタンを押すと、家にいなくとも遠隔からビデオ通話ができる機能を備えています。また、訪問者をセンサーで検知した時にだけカメラが起動するモデルもあり、エネルギー効率の観点から長期間の使用にも耐えられます。
意匠登録第1694669号(意匠権者:Hangzhou Meari Technology Co., Ltd.)
【意匠に係る物品】インターホン
未来コンパスが指すミライ
このインターホンは、監視カメラの代わりにもなるため、子供の見守りや防犯目的で購入する人もいます。また、家事代行を頼んでいる家庭にとっては、不在時の入室管理にも使えて、安心感があります。
これらはユーザーのメリットですが、インターホンの販売業者にとっては、製品売上の他に何かメリットがあるでしょうか?
この疑問が浮かんだきっかけは、インターホンと関係なさそうなAmazonやGoogleも販売しているからです。彼らがIoTインターホンを販売する理由はなんでしょうか。おそらく映像データの活用ではないかと推測します。
Amazonは、人の表情から感情を読み取る研究をしているとアメリカで発表しました。IoTインターホンが撮った映像は、後で確認できるようサーバーに保管されていますが、表情研究のためのデータになり得ます。
AIによる分析結果の精度は、はじめは粗いでしょう。しかし、怒っているや喜んでいる程度の大雑把な感情は割と早く判別できるようになるでしょうし、遠からず「商品と紐づいた感情」も導き出されると言われています。例えば、ある表情から「スイーツを食べたい」という感情が分かるかもしれないと言うのです。
これが分かるようになると、表情から感情を、感情から行動を予測できるようになります。行動が予測できるとそれに基づく広告、例えば、スイーツを欲する人向けの「ケーキの広告やクーポン」を、先回りで表示するといったことが出来ると考えられています。現状、購入履歴に基づいたレコメンドがAmazonサイト上で表示されますが、表情データを元にした、よりパーソナルなレコメンドのイメージでしょうか。
テクノロジーは個人の欲求を満たすように、より便利になるように進化していくのでしょうが、さすがに表情のような個人情報がガッツリ収集されるミライを想像すると、少し怖いです。。。。
この記事を書いた人
八重田 貴司(やえだ たかし)
外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。
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