第83回「ZUREN」

このコラムについて
世の中の情報は99%が「現在」または「過去」のものでしょう。たった1%の未来情報をつかめる人だけが、自分のキャリアやビジネスを輝かせるのです。でも、未来情報なんか手に入らないよ!と思ったアナタ。ご安心を。もしアナタが古い体質の会社に勤めているなら超ラッキー。そんな会社の経営者ならビジネスがハネるかも。

未来コンパスが、あなたの知らない未来を指し示します。

 第83回  「ZUREN」

思わず叫んでしまいました。「オレが考えたネーミングが使われている!」
ZUREN(ズレン)。ズレないベルトに関する商品名です。
https://www.noesark.tokyo/product-page/ズレないベルト

一年ほど前、知人からネーミングを募集している商品があると言われ、このベルトを知りました。バックルの位置が上下左右にずれてしまい、何とも気持ちの悪い“あの感じ”を味わった経験がある方は多いと思います。ZURENは、ツノ型のベルトピンがバックルの中央にあり、ズボンのボタンに引っ掛けることで、ズレを防止するベルトです。
シンプルにして、効果は十分。言われてみればそうだよな、と言うたぐいの発明です。日本だけでなく海外にも特許出願をしているようで、海外ビジネスの展開もあるのでしょうか(出願から一定期間経過していないため詳細未公開)。

 

未来コンパスが指すミライ

このZURENというネーミングは、一週間くらい考えた記憶があります。
サービスを表す日本語を、カタカナやアルファベットで表記するネーミングが当時流行っていて、私の頭の中にもありました。例えば、サンカク。社会人が他社のビジネスに参画する(インターンシップを経験する)サービスの特徴を表したネーミングです。
短い言葉でズバッと特徴を伝えられ、インパクトのある強い音がいいなと考え、ZURENにしました。似た候補ではZURENU(ずれぬ)もありましたが、改めて比較してみても、前者の方が心地よい音で正解だったと思います。もちろん、日本での使用に問題がないかの商標チェックも行いました。

今から思うと心残りなのが、海外展開を意識していなかった点。ズレるという言葉を知らない海外の方には特徴が伝わらないですね。
販売戦略や開発経緯などの詳細は聞いておらず、「ズレないベルト」という商品コンセプトだけで、ネーミングした結果です。このような掘り下げ不足がネーミングのプロとの違いなのでしょう。何というか、“奥行き”が足りません。

この案件はプライベートで関わった趣味のようなもので、仕事につなげようと考えていませんでした。ですが、これは今後のヒントになりそうです。
商標出願の上流、つまりネーミングの考案ができると、その流れで「この人に商標出願をお願いしたい!」となりますよね。
もちろん、これは容易な仕事ではありません。いざ仕事としてネーミングを考えると煮詰まるのは目に見えています。自分の琴線に触れた商品のネーミングを考える。こういったスキル磨きを続けるしかないのでしょうね。競合が提供できないスキルを、何年かかけてじっくり作っていければと思っています。

 

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 この記事を書いた人  

八重田 貴司(やえだ たかし)

外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。

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