第161回 レセコン業者にぼったくられる?
お医者さん
えっ、ちょっと待ってよ。こないだ入れた自動精算機、レセコンと連携するのにお金がかかるって?
お医者さん
それはおかしいよ。毎月保守契約費を払ってるんだから、その金額内で対応すべきでしょ。
こんにちは先生、どうしたんですそんなに怒って。
絹川
お医者さん
んん? あっ、あなたは確か……
ご無沙汰しております。ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら、「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
お医者さん
そうだそうだ、ドクターアバターね。それにしてもいいところに来てくれた。レセコン業者にぼったくられそうなんだよ。
と、言いますと?
絹川
お医者さん
いやね、ウチも最近やっと自動精算機を入れたんだよ。で、それをレセコンと連携してもらおうと思ったらさ、毎月の保守費とは別に作業費がかかる、なんて言われてさ。
ああ、なるほど。
絹川
お医者さん
そういう作業も含めて「保守」なんじゃないの? 私が機械オンチなのをいいことに、ぼったくろうとしてるんじゃないかと思ってさ。
なるほど。確かに「保守」の内容は業者さんによって違いますから、契約書を見ないとなんとも言えません。でも私の感覚で言えば、それは別途作業費がかかっても仕方ないと思いますね。
絹川
お医者さん
えっ!? なんで?
まず一般認識として、保守契約って既存システムのトラブル対応のことなんですよね。つまり今回のようなケースは「保守」の範囲外ってことです。
絹川
お医者さん
そんな……でも、既存システムに関わることなんだし、サクッと無料でやってくれたっていいじゃない。
いやいや、人が動く以上お金は発生するものです。そこをケチってしまうと、「じゃあ別の業者に頼んでください」って逃げられちゃうこともあるかもしれませんよ。
絹川
お医者さん
な……いや、別にそれならそれでいい!そんな人情もない業者とは付き合いたくないからな。
でも先生、昨今のIT業界はとにかく人材不足ですから、すぐ次の業者が見つかるかはわかりませんよ。そもそも医療業界って、IT仕事の単価がものすごく低いんです。
絹川
お医者さん
うん? そんなのは私の知ったこっちゃない。安かろうがなんだろうが、仕事はキチッとしてくれなきゃ困る!
先生、相手の立場になって考えてみてください。単価が安い上に、本来は別料金をもらう仕事まで「これくらい無料でやれ」なんて言われたら、「あのクリニックとは取引しない方がいい」なんて噂が回ってしまうかもしれませんよ。
絹川
お医者さん
な、なんだと! まるで私の方が悪いみたいじゃないか。
現実的に考えましょう、ということです。今後は医療業界でも、ますますエンジニアの重要性が高まっていきます。そういう未来を考えたら、彼らの機嫌を損ねるのは得策とは言えません。
絹川
お医者さん
む……
最近、食堂運営会社が破綻したってニュースもありましたが、レセコン業者からある日突然「もう仕事はできません」なんて言われたら困るでしょう?
絹川
お医者さん
……まぁ、それは確かにそうかもしれんが。
これも時代の流れです、先生。ご不満もあると思いますが、まずは契約内容をしっかりチェックして、その上でお互い冷静に話し合いをすべきだと思いますよ。
絹川
お医者さん
……確かにそうだな。よくわからない世界だけに、感情的になってしまっていたよ。ありがとう。あらためて契約書を確認してみるよ。
医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。
著者:ドクターアバター 絹川 裕康
株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。