電カル導入時に気をつけたいポイント3選〜お医者さんは、なやんでる。 第167回〜

第167回  電カル導入時に気をつけたいポイント3選

お医者さん
お医者さん
いよいよ我が病院も電子カルテ導入することになった。院内皆で協力して頑張っていくとしよう。
お医者さん
お医者さん
ともあれ不安がないわけではない。うまく使いこなせるだろうか……
電子カルテ導入おめでとうございます。でもやはり新規導入時はいろいろと不安ですよね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ああ、そうなんだよ。正直言えば、私は別に電カルの必要性を感じていなかったんだ。政府が医療DXの提言で電子カルテの普及を後押ししていなければ、今まで通りのオペレーションを続けていただろう。……って、君は一体?
はじめまして。ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ふむ。ということは君、電カルについても詳しいのかね?
ええ、今でこそお医者さんからいろいろな相談を受けるようにはなりましたが、実は専門は電カルの導入でして。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ほう! それはいいところに来てくれた。新規導入にあたって気をつけておいた方がいいポイントを教えてくれないか?
ええ、お安い御用です。代表的なものを3つほどお伝えさせていただきますね。まず1つ目は、人件費の高騰です。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
人件費の高騰? いきなり予想外の内容だ。
ええ、ここは見落とされがちなのですが、システム導入に際しては通常業務とは別の仕事があれこれ発生します。結果スタッフさんの残業も増え、それが人件費にも影響してくるんです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そうなのか? 作業は業者のエンジニアに任せておけばいいと思っていたが。
もちろんある程度は任せられますが、病院側の対応が必要な部分がどうしても発生します。あるいは新しいオペレーションについての会議や打ち合わせ、教育の時間などもありますね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほど、確かにそうかもしれんな。
2つ目は、いきなり完全ペーパーレスを実践するのはおすすめしない、ということです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
む……そうなのか? ペーパーレス化も電カルを導入する重要な理由だと思っていたが。
もちろん仰るとおりなのですが、今までの紙運用を廃止して一気にペーパーレス化すると、必ず現場は混乱します。結果いろいろなミスが起こり、それを避けるため導入前よりもむしろ煩雑な工程が必要になったりするんです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほど。つまりいきなり一気に変えず、徐々に変えていくのがいいと?
仰るとおりです。今までのオペレーションを、段階を踏みながら少しずつIT化していくイメージです。現場が慣れたら一段上げて、さらにそれにも慣れたらもう一段、というような。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そうだな。確かにその方が現場の混乱は少なそうだ。1つ目のポイントに出ていた残業代にも関わるだろうし。
仰るとおりです。そして最後の3つ目は、導入時のシステムをゴールだと考えない、ということですね。システムというのは状況に応じて変化していくものです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ああ、それは確かに重要なポイントだろうな。せっかく電カルを入れるなら、自分たちにマッチする内容にアップデートしていった方がいい。
その通りなんです。逆に言えば、導入当初の設定で経営をしてみて、それがあまり合わないようなら作り変えれるということです。正直、ここの視点が抜けていることで、あまり電カルを活用できてない病院も多いんです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
それはもったいない話だな。まあ、気持ちは分からなくはない。私のようにITに詳しくない人間からすると、「あまり勝手に触ると壊れるんじゃないか」という不安があるんだ。
わかります。そのあたりは電カルのベンダーや、私のような外部のアドバイザーを頼りながら進めるのがいいでしょうね。いずれにせよ、「国から言われたから仕方なく」ではなく「せっかく導入したんだからできる限り活用しよう」という姿勢を持つことが重要なんだと思います。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ふむ。まあ、国は今後も電カル導入を後押ししていくようだし、時代を嘆くより積極的に適合していくほうがいいんだろうな。
ええ。国は電カルの導入率を上げるために補助金なども出す予定のようです。今後も電カル導入が進むのは間違いないので、早めに知識を得ておいた方が絶対にいいと思います。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほど。確かにその通りかもしれん。今度一度うちのスタッフ向けにレクチャーしてやってくれないか? 私も参加するから。
いいですね!お任せください!
絹川
絹川

 

医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。


著者:ドクターアバター 絹川 裕康

株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。

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