第28回 「そろそろオンライン診察やらないと」
お医者さん
ここにきて再度の緊急事態宣言か。現場を知っている医療従事者としてはむしろホッとしたが、経営者目線で考えると売上の不安が…。1回目の宣言中は明らかに患者さんが減ったからなあ。
お医者さん
うちはいわゆる”常連さん”が少ないし、やっぱり前から考えていた「オンライン診察」を取り入れるべきだろうか。それでなんとか売上を補填して…。
オンライン診察で期待通りの売上があがるとは限りませんよ。
絹川
お医者さん
え? だっていま皆やってるじゃない。利益にならないのに導入なんてしないでしょう。っていうか、どなたですか?
ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら「アバター(分身)」としてお手伝いをしています。
絹川
お医者さん
ふうん、そんな職業があるんだね。じゃあオンライン診察が流行ってるのも当然知っているでしょ?
そうですね、以前から業界全体で導入が進んでいましたし、今回のコロナ禍でさらにその動きが早まったのは間違いないでしょうね。
絹川
お医者さん
ほら、やっぱり。だったらウチだって早く導入したほうがいいでしょ。何もしなかったら売上は下がる一方だよ。
そうですね、オンライン診察はぜひ導入すべきだと思いますよ。
絹川
お医者さん
え? あなたさっきと言ってることが違うじゃない。オンライン診察じゃ売上にならないって。
オンライン診療は手間の割に点数が低いんです。リアル診察をそのままオンライン診察に置き換えた場合、売上は下がります。
絹川
お医者さん
…そうなんだ。じゃあ、オンライン診察をやる意味はないってことか。
いえ、必ずしもそういうわけではないんです。重要なのは、オンライン診察を「どういう目的で」導入するかという視点なんです。
絹川
お医者さん
導入の…目的?
そうです。「売上アップ」が目的だとするとあまり旨味はありませんが、「患者フォロー」や「満足度向上」を目的だと考えると、オンライン診察は非常に効果的なんです。
絹川
お医者さん
…というと?
先生の病院は”常連さん”が少ないと仰っていましたね。
絹川
お医者さん
ん、まあね。なかなかリピートしてくれなくてさ。
オンライン診察を「患者フォロー・満足度向上」のツールとして活用することで、”常連さん”がメインの体制に変えていくことは可能だと思うんです。
絹川
お医者さん
あ……そういうことか。つまり、オンライン診察自体で売上を立てるわけじゃなく、それを活用することで、病院自体の利益構造を変えていくってことだね。
その通りです!やがては病院のファンが増え、リピート率も上がっていくはずです。「地域のかかりつけ医」というポジションに立てれば、売上は安定しますから。
絹川
お医者さん
なるほどねえ。まさにピンチはチャンスってことか。…よし、すぐにオンライン診察の環境を整えたいんだけど、お願いできる?
もちろんです!お任せください!
絹川
医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。
著者:ドクターアバター 絹川 裕康
株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。