第104回 西洋医学と東洋医学、それぞれの得意分野

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第104回 西洋医学と東洋医学、それぞれの得意分野

安田
「西洋医学」と「東洋医学」って、同じ医学なのに全然違うじゃないですか。どうしてここまでの違いが生まれたのか、今日は久保さんに教えてもらおうと思って。

久保
なるほど。ちなみに安田さんは「西洋医学」と「東洋医学」、それぞれにどういったイメージを持たれていますか?
安田

以前は「西洋医学=科学的根拠のある治療をする」「東洋医学=なんだかよくわからないけど健康になりそうなことをする」というイメージでした(笑)。でも久保さんと話をするようになって、「病気になった後に対処するのが西洋医学」で、「病気にならないようにするのが東洋医学」かなと思うようになりましたね。


久保
なるほど。対処療法の西洋医学、予防医学の東洋医学、というのは言い得て妙ですね。東洋医学はアジアを中心に広まってきただけあって、「仏教的な考え方」が根っこにある医学なんですよね。
安田
ほう…仏教的な考え方とは?

久保
「全体をみる」ということです。例えば一部の臓器の不調だけに注目するのではなく体全体をみたり、人間を「1つの個体」と捉えるのではなく「自然の一部である」と捉えたり。言い換えれば、東洋医学では「根源的なものの治療」を目指しているんだろうと。
安田
なるほど。一部分にフォーカスするのではなく、全体をみながら根本的な原因を治していくと。ということは、逆に「西洋医学は部分的にしかみない」ということになりますか?

久保
そうですね。西洋医学は表出している症状をよく観察して、エビデンスを探し出し、1つずつ対処していく…いわば部分的に治していくスタイルですよね。ちなみに安田さん、そもそも西洋医学がここまで発達した理由をご存知ですか?
安田
いや、わかりません。なぜなんですか?

久保
もちろんいろいろな要因はあるんでしょうが、その中の一つに必ず「戦争」が入ってくる。戦争で兵士が負傷したら、その傷を早く治して兵士を戦場に戻さなくてはいけませんよね? その結果、この分野の研究がどんどん進んで、西洋医学も発達していったと。
安田
なるほど! 確かにそういう状況にあって「怪我の所だけじゃなく全体をみて…」という治療にはなりそうもない(笑)。つまり西洋医学は「怪我を治す」という目的に特化しているというわけか。

久保
私はそう考えています。ちなみに、こと「菌」に関しては、西洋医学でも「根本原因」を消すことに成功しているんですよ。
安田
へぇ、そうなんですか! それもやはり、戦争で傷ついた兵士を治療する過程で研究が盛んになったんですか?

久保
ええ。傷からバイ菌が入って破傷風になってしまうことも多かったので、それに対抗するための薬やワクチンの研究が進んでいったんです。つまり西洋医学ではきっちりと原因を特定して、「この菌にはこの抗生剤」というような対処をとるわけです。
安田
なるほどなぁ。そう考えると、東洋医学って「経験則」から原因を探る医学だと言えそうですね。

久保
そうですね。東洋医学は患者側の個体差も加味しながら症状にアプローチしていくことが多い。「こういう方法で健康状態になった」という経験則をベースにアプローチしていく医学とも言えますね。
安田
ふーむ。そういえばよく久保さんが、西洋医学は「体の外からやってくるもの」に対しては原因を明確にしているけれど、「体内から出てくる症状」に対しては原因をあまり追求していないと仰ってますよね。これも、「部分的な対処」と「根本的な対処」の違いなんでしょうか。

久保
ええ。一番わかりやすい例が「生活習慣病」だと思います。その名の通り、原因は生活習慣そのものにあって、薬などでは治せない。だから薬物療法や手術が武器となる西洋医学にとっては、不得意な分野なんです。
安田
西洋医学だと、高血圧や糖尿病などの「症状」には対処はできるけど、生活習慣病にならないための根本的な対処…つまり「予防」はできないというわけか。でも西洋医学でも「予防」のためにワクチンを打ちますよね? だったら生活習慣病予防のためのワクチンも開発できるんじゃないんでしょうか?

久保
ワクチンが予防できるのは「ウイルス=体の外からの敵」だけなんです。つまり体の中で様々な症状が起きていく生活習慣病に対抗できるワクチンは理論上あり得ない。でも東洋医学であれば、先程お話したように「経験則」から根本的な対処を導き出せる可能性があるというわけです。
安田
なるほどなぁ。それだったら「予防医学」というような分野をしっかり確立させて、正当な医療として受けられるようにしてほしいですね。

久保
アメリカはそういった分野も進んでいますね。西洋医学の医師免許はもちろんありますが、自然療法を行う「ナチュロパス」という免許も、国としてきちんと整備されている。だから国民はどちらかを選べる仕組みがあるわけです。
安田
へぇ〜、そうなんですね。日本だとどうしても東洋医学や民間療法は「なんとなく怪しいもの」と思われがちですが、国として制度を整えてくれれば、自分に合ったものを選べる機会が増えそうです。

久保
仰るとおりです。西洋医学・東洋医学、それぞれの特徴を国がしっかり評価していくべきだと思います。そういった意味でも、私はもっと東洋医学のもつポテンシャルについて見直していった方がいいと思いますね。

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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