純資産がまずひとつの目安になると。ただ、こういうところに、中小でよくありがちな「謎の数千万の車があって」とか、そういう資産とかもぜんぶ価値としてみなされるんですか?
みなされるけど、いらないケースが多いから、M&Aのときに、そういう車は。
「資産だが……」みたいな?
そういうのは退職金でもらうとか。
あ、そういう話になってくるんですね。
になる可能性が大きい。
なるほど。ちょっとそのへんはややこしい話になりそうですんで、いったん横に置いて。
でも、ほとんど償却終わってるから時価ゼロになってるケースが多い。時価というか。ただ、税理士さんだとこれで終わっちゃうんだよね。財産評価基本通達ってあって、「こうやって評価しなさいよ、財産を」、で、「これが時価です」って言うのよ。
純資産がってことですか?
でも、純資産が時価って、これで売るケースはたぶんほとんどないよね。これ、事業承継の場合にそうするけど、なんでかっていうと、やっぱ会社を買うってことは営業活動も含めて買うじゃない?べつに建物の箱と売掛金と買掛金を買うわけじゃないから。
まあ、たしかに。ポテンシャルとかいろいろありますもんね。
そうそう。そこの今後の営業の利益とか、今出てるその600万っていう利益だったり、今後の市場の成長性とか、シェアとか、販売ルートとか、何を扱ってるかとか、得意先がどうとか、いろんな加算要素はもちろんあって、その利益を何年分かはのれんとして、営業権としてみるっていうのが一般的。
そこの部分っていうのは、ざっくり言うとどういう見方をするんですか?試算するとき。
利益に対して?
利益。あと、プラスその会社が独自性があったりとか、そういう要素があればもちろんプラスにはなる。
とんでもないクライアント抱えまくってるとか?
そうそう。あと、リストすげーもってるとか、そういう目に見えない要素はのれんとして評価されるんで。あと、何か利権があるとかね。ただ、ITではちょっとわかんないけど。ただ、10年ぐらいの会社でオーナーでやってるとすると、多少節税してるかもしれないなあと思ってて。600万しか出てないから。「しか」って言い方は失礼だけど。だから、たとえば交際費削ったり、役員給与完全にもらってないかとか、無駄な投資がないかとか考えていくと実は利益水準もっと上がって、そうすると株の売却額が上がるから、そういう目線で、たとえば2・3年後の売却みたいのをみたときに、利益目一杯出したり付加価値を上げるみたいなことも戦略としてアリなのかなと思って。
じゃあ、売却が上がるような工夫はある程度できるわけですね。
絶対できると思うね。その会社は上場企業だったから、利益に対してEBITDA倍率っていうのが……まあ、中小企業はあんま出てこないけど。
今何て言いました?やたら難しい、今の。
まあ、そういうのがある。あんま出てこないからいいんだけど。「上場企業の類似業種とみたときにこれぐらい」みたいなの。そうすると利益の11倍ぐらいついてたんだけど、そうすると利益を上げたらさ……利益を上げるには役員給与を落としたり、まあ、過剰に落としたらダメだけど、交際費減らしたりとか、そいつ無駄に六本木で飲んでるわけだからさ、「そういうのをやめれば出るんだから」みたいな話はしてたけど(笑)そういう意味で、出口が近ければ、いくらで売れるのかの計算をしながら。だいたい、でも、とはいっても、純資産に利益の何年分っていう感じだから。
その「何年分」っていうのは、今の話だと業種とか業界によって若干見方が変わる傾向があるんですか?
傾向があるけど、まあ、だいたい中小なら3から5年ぐらいでみてればいいのかなっていう感じはする。
ちなみに「IT」とありますけど、ITとかだと。それも3年から5年ぐらいが普通な感じなんですか?
そうなっちゃうのかなあっていう感じがする。EBITDA倍率だったら11とかで……
何て言ってるんですか?それ。
(笑)
何て言ってるんですか?イービット??
うん。ディーエー。ちょっと難しくなるからやめとこう(笑)
あ、教えてくれないやつですね(笑)
まあ、だから時価純資産プラス営業権って考えていいですよ。ただ、欲しかったら買うし、欲しくなかったら買わないので、そういう意味では、たぶんもう1個気をつけなきゃいけない大事なことは、誰が買うかはある程度判断つけられると思うんだよね。自分の会社欲しい人って誰かわかるよね。
売却先?
そう、売却先。同業だったり。
シナジー高そうなとことか。
そうそう。そういうところをちゃんと探しとくっていうのは、ひとつかもしれないな。
けど、意外とM&Aかけてみて、やってるうちに「そんなとこ買うの!?」みたいな意外な発見も結構あるじゃないですか。
どんなもんなんですか?
センターは2,000万ぐらいから(笑)
(笑)
でも、上場のM&Aブティックだったら1,000万以上でしょ?手数料。
売れた額の何パーとかって計算じゃない?
売れた額の何パーなんだけど、負債を入れたりとか。○○パートナーズは下期で、解放されてるからいいけど、30億利益出てんだよ、四半期で。すごくね?手数料商売で。
へぇ。
ふざけてるなって……あ、まあ、付加価値を生んでるなと(笑)
言い回し(笑)そんな儲かってるんですか、パートナーズさん。
彼ねぇ(笑)
ピンポイントやめてください(笑)
でも、3社ぐらいしかあと…○×▼#♪。
調べたらすぐ出ちゃうじゃないですか(笑)
いや、でも見りゃわかるから、決算書。どんだけ儲けてんだって。まあ、それはそれで価値あると思うし、ぜんぜん違うところをもってきてくれるからあれかもしれないけど。まあ、一応そんな目線で。あとはその人が社長続けるかどうかっていうのもひとつ。若い場合は、ほら、今、人手不足だから、優秀であれば、一代で5億ぐらい売上つくっちゃう方だったら残っててほしい可能性も高いので。
雇われ社長として、ってことですか?
そうそう。で、買い手側の戦略次第だけど、べつに株主って「株主です」って言わない限り出てこないんで、わからないっていう。
謄本取りいって、見て。
取締役だけか。
そう。それが結構みんな錯覚してて。だから、ホントに黙ってたら、裏でオーナー変わっててもわかんない。
「グループ会社の親会社のロゴを入れろ」みたいな話になったり。
そうだね。その場合はわかるかもしれないけど。
「なんか名刺に変なの入ってんぞ」みたいな。
そうそう。契約上、チェンジオブコントロール条項ってあって、オーナーが変わったら……
えっ?今なんて??なんですか?今日はなんか、なんなんですか?(笑)
いや、財務コンテンツに厚みを出そうと思って(笑)「支配権が変わった場合はちゃんと報告しなさいよ」みたいなのが相手先との取引であるかもしれない。売り先と買い先に。
クライアント側とかに?
クライアント側とかに。がある場合はちゃんとやんなきゃいけないけど、そうじゃなければ、べつに何も言わなかったら社員とかぜんぜん気づかないかもしれない。だって、べつに社長のままですから。
まあ、そうですね。大きなお金を手にした社長になっただけと。
でも、大きなお金を手にしたかどうかも黙ってりゃわかんないもんね。
黙ってればね(笑)
言う必要ないもん、個人に入んだから。
ひとつあるのは、雇われそうになったときに、今までぐらい気合いが入った感じで経営ができなくなりそうな感じはしますよね。
わかんないよ。クビになるリスクがあるから頑張るかもしれない(笑)
逆に?(笑)「キャッシュあるからいいや」ってなるでしょ。
いや、ほら、「キャッシュを運用しろ」って言ってんだけどさ、逆に、そこで何億か入ったらさ……
ちなみに、何億か入った場合の……要は個人資産ですよね。
うん。
税率は?
20パーちょいぐらいじゃない。
株という扱いだから?
そうそう。株の譲渡だから。上場株売ったのと変わんないから。
そっか。20パーで済むんですか。
そう。それはいいよね。
それは売りたいですね。「売りたいですね」っておかしいですけど(笑)
ひとつのあがり方としてありますね。
あがれるぐらいの株価、だから、利益水準がちょっと低いかなって思っちゃうので、もうちょっと売れるように……。たぶんね、投資とかしてんでしょ、投資というか人入れたりとかで。結構新卒採用とかで金使ったりとかね、結構IT企業とかはあるじゃん。
ですよね。5億でITだったら、それなりに人いますよね。
そう。ものすごい出てるはず。だから、それを抑えるなり、説明するなり、買い手に。で、価値を上げればもうちょっと高く売れるなあと思うんで。
なるほど。ということですね。だいぶ今日は手厚めだったんじゃないですか。
財務コンテンツでちょっと引き離した。
あ、そっちですか。「この案件取ってやろう」じゃなくて?
いや、いらない(笑)
(笑)
600万しか出てないから(笑)いや、ウソです。
「弄ったら」という言い方はあれですが、結構出るかもしれませんからね、1回見せていただきたいですよね。
そうだね。
さあ、というわけでね、売却のお話。なかなか濃いめで私は面白かったですが。スタートのあの眠さ加減からしたら。
いっつも薄そうじゃねーかよ(笑)
え?
いっつも薄いっていう。
それはご本人がいちばんわかってるんじゃないかというわけで、終わりたいなと思います。本日もありがとうございました。
ありがとうございまーす。