私募債と銀行【読むPodcast | マネトレ114-後半】

番組への質問と大久保先生の著書の知識を頼りに銀行融資を行ったというリピーター質問者さん。「私募債ってどうなの?」というストレートな質問にお答えする後半です。(音声はこちら
円道

質問者さんは売上もすごい伸ばされて、融資もとれた状況ではありますが、「私募債ってどうなの?」ということですね。

大久保

私募債って、なんか1回やったよね。

円道

やりましたね、だいぶ前に。

大久保

その回を聴いてくださーい、っていうことで。

円道

ちゃんと答えてー。ちゃんと答えてください(笑)

大久保

(笑)……普通に私募債っていったら、債権を発行して他の人に持ってもらうっていう、たとえば取引先とかに持ってもらったりとか。

円道

はいはいはい。

大久保

まあ、借りるっていうことだよね、債権を発行して。

円道

うんうん。

大久保

っていうのなんだけど、基本的にやる人ってなかなかいなくて、基本は銀行が引き受けるというか、まあ、銀行の借入を私募債という形で、はじめに私募債手数料をね。質問者さんがおっしゃるとおり取るっていう。しかも、私募債は5年ぐらいで、まあ、返済はあったりなかったりもするんだろうけど、固定で返していくっていう。返さなかったりとか、5,000万借りて5年後に5,000万丸っと返すとか、年間1,000万返すとか、いろんなパターンがあるんだろうけど。

円道

うんうんうん。

大久保

だから、おっしゃるとおり、先に手数料を取られるので、「なんのメリットがあんの?」っていったら、ないよねっていうところではあるかな、というところなんだけど。まあ、あとは……

円道

やっぱり……

大久保

ん?

円道

やっぱり、あんまり企業側にはメリットがない、みたいなとこなんですかね。

大久保

借りる側がメリットないことはないけどね。


円道

過去の206回で、「社長就任後、銀行から私募債を提案されました」という回があって、そのときは一応、まあ、文脈にもよるかと思うんですけど、そのときは「銀行の都合がいいね」っていう感じの回答だったんですね。

大久保

そうそうそう。たとえば、すげーレアなケースで実際やったのって、「土地を買います。事業用じゃないんだけど、この土地を押さえておいたほうがいい」みたいな。今後展開する、でも事業アイデアはない。

円道

とりあえず押さえると。

大久保

うん。時価よりも安く買えるし、とりあえず。まあ、それはかなり特殊な事情なんで、地上げしてる案件みたいなイメージではあるんだよね(笑)つながったらいける、みたいな。

円道

なるほどなるほど、はいはい。田舎のほうはあるらしいですね。

大久保

そのとき、普通の長期融資だと担保取られるでしょ?その土地に。

円道

うんうん。

大久保

「取られたくねーな」っていうのがあって。

円道

なるほど。

大久保

要は土地の融資で20年とか引っ張ってもいいんだけど、担保取られちゃうともったいないような土地だったから、私募債を5年の一括返済のやつで調達して、金利負担はあるけど、長期で減っていくよりは、べたで張り付かせて、まあ、5年動かないってことはないだろうから。でも、買っといたほうが値上がり益とか、「売らないんだけど、事業に使いたいんだけど」みたいなときには、「このときだったら私募債ありかな」のは、ちょっとあったりはしたけど。

円道

それ、普通の融資は厳しい?

大久保

いや、厳しくない。返済が出ていっちゃうじゃん。

円道

はいはい。

大久保

土地の融資にしたら返済だし、運転資金だと、たとえば5年で借りて毎月の返済が始まるから。まあ、べつに返せる財務力があるからいいんだけど、合わせるんだったらそれででもいいよね、みたいな感じの合わせ方。

円道

なるほどね。

大久保

かなりのレアケース。基本的にはあんまり勧めてないし。だから、銀行も必死なんだろうねって感じだよね。

円道

銀行はメリットがある?

大久保

大きいでしょ。

円道

ああ、やっぱり?

大久保

うん、大きいよね。かつ、いまだと本当に手数料取るの大変だから、なんだっけ、スキーム組成手数料とか取るもんね。

円道

ほお。コンサル的な部分で取るっていう意味ですか?

大久保

それで調達の何パーセントとか。

円道

え、銀行が?

大久保

そう、銀行が。それ金利だろって思うんだけど、「いや、金利じゃないです。スキーム立案料なんです」みたいな。

円道

へぇ~。

大久保

だから、そういうのも出てきてると、私募債の手数料だけじゃなくて、なんか、こう、いろいろ気をつけなきゃいけないんだよね。エリアにもよるんだけど。たとえば、2行しかないエリアのお客さんに言われたのは、「1億以上の融資だと、いま取られるんですよ」って言ってて。そんなことないエリアもいっぱいあるんだよ。でも、もう1行にいっても同じことやってるから、俺、ひでーなと思って。Aに行ってもBに行っても手数料が「かかる」って言われたら、お願いするしかないもんね。

円道

たしかに。寡占マーケットになっちゃってるから。

大久保

まあ、でも、それで商工中金ぶち込んだら「民業圧迫だ」って怒られたりして。民業圧迫もなにも、そんなヤクザみたいなことしてるからやろ、みたいなのはあるけど(笑)

円道

「民業圧迫」って銀行のほうから言われるんですか?それは。

大久保

まあ、言われるというか、直接は言わないけど、「いやあ、ちょっと勘弁してくださいよ」みたいな。

円道

へぇ~。素人質問で1個、戻すんですけど、よくある名文句じゃないですけど、「純資産も増えてきたから、そろそろ私募債だよね」っていうのは、この「純資産が増えてきた」っていう、これはなんでそうなるんですか?

大久保

「財務が強くなってきた」っていうことだよね。そういう意味じゃ、たしかにある種、そんなべた付きの融資とかできないわけで、普通の長期運転とかで本来はやりたいんだろうけど。うそではないよ。いい会社しか私募債は発行できないんで。

円道

けど、結果、金融機関のほうが比較的メリットがある?

大久保

ただ、まあ……そうね、あとは、だから、金額ベースで考えたときに許容できんのかどうかとか、さっき言ったみたいなメリットがあるんだったら、張り付いてる融資もいいよねっていう判断をしてもいいのかなあとは思うけど。まあ、でも、なにせいろんな方法で取りにきてるからね。

円道

なるほど。

大久保

しんどいんだろうね、やっぱね。支店の合併とか、いま結構聞くもんね。

円道

うーん。ずっとね、何年も前からこの番組でもその話をしてきましたけど……

大久保

いよいよね。

円道

本当に起きてるって感じですかね。

大久保

いよいよ来るんじゃない?まあ、だから、そういう背景も考えて、単純に、東京ならぜんぜんやらなくていいと思うけど、地方でメインバンクの顔を立たせなきゃいけないみたいなところで、「コスト何十万か100万とかかかるかもしれないけど、それでもやっとくかな」みたいな判断もあるよね。一方で。

円道

関係性的なところですね。

大久保

関係性っていうか、まあ、うん。嫌だけど、しょうがないもんね。

円道

うん。

大久保

ヤクザと付き合ってるんだから、ある程度ね、ちょっと、うまくやんないとなっていう。

円道

なるほど。ということで、かなり借りていただいたんじゃないかなと思いますので、この方きっと、また半年後ぐらいにでっかい報告をいただけるような気もしますんで。

大久保

なんのプレッシャーなんだよ、それ(笑)

円道

お待ちをしております。

大久保

はーい。

円道

ということで、今日のところは終わりたいと思います。ありがとうございました。

大久保

ありがとうございまーす。

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