第232回 天皇への講義

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/天皇への講義

「Oxford Languages」は150年以上にわたり、世界50以上の言語の「権威ある辞書」を編集、発行してきた「辞書を専門」とする世界有数の出版社であり、例えば「Google日本語辞書」など活用されています。

先日、某大手さんに訪問した際、来客者受付近くの壁にある会議予定などが表示された大きなモニターに「会議室A_新社長_御進講_10:30-16:00」とのご予定が映されておりました。

高松はと言えば、お隣の「会議室B」にて「少し長めのmtg」に参加していたのですが、

「失礼いたします。社長ご就任おめでとうございます!!」

「本日、どうぞよろしくお願いいたします!!」

やや「大袈裟っぽいお声」が、お隣の会議室の扉を開けるたびに聞こえてくるのです。

私が滞在していた3時間程度に、その数およそ「10数回」

こちらの会社さんは、先日「新社長がご就任」したばかりなのですが、どうやら新社長への「社内業務説明」を開催していたご様子。

高松とのmtgの場にいらっしゃった本部長、部長からは、

「ぼくらも今日は新社長に説明する役割があるので、高松さんとのmtgは出たり入ったりすることになっちゃいます。申し訳ない」

とのお言葉が。

なるほど!

本部長、部長が出たり入ったりしなくちゃいけないので、高松とのmtgは少し長めの時間設定だったワケですね。

ということで、お二人が出たタイミングでの休憩時間に、「Oxford Languages」にて「御進講」なる聞き馴染みのない言葉を調べてみますと。

・進講

=貴人に対しその前で講義をすること

・貴人

=地位や家柄が高い人

と教えてくれます。

ちなみに、

・御進講

=天皇への講義を意味する

とのことで、またひとつ大手さんの雑学を学べたなんて思っておりましたところ、

本部長より一足先に戻ってきた部長さんが、

「高松さん、今日はなんだかすみませんね」

「受付のモニター見ました?」

「ウチの会社、『御進講』なんて言葉使うんですよ。外部のお客さんだっていらっしゃるのに、、」

「普通に『社内業務説明会』みたいな表記にすれば良いのに、仰々しすぎるでしょ?」

「役員陣が新社長の言葉に、いちいち大きく反応してましたわ、、」

「もはや、『ご信仰』やなって感じでしたわ」

気の利いた返しもできず、穏やかな微笑みを返すばかりの高松でしたとさ。。

 

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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