第262回 雨ニモマケズな人々

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/雨ニモマケズな人々

 

某大手メーカーさん「現場リーダー研修」の終了時に、この日から新たにご担当となった人事Yさんが「閉講挨拶」を。

「担当した講師と参加した受講生へ軽く御礼を伝え→社内アンケートの依頼→その他の事務連絡をして終了」

そんな流れでの「締めの挨拶」を行なっている企業が多いように感じます。

ですが、Yさんは、事務連絡を伝えた後、

「皆さんに、少しだけ『日頃の御礼』を伝えさせてください」

と始め、

「ウチはメーカーです。『生産現場が回ってこそ成り立つビジネス』です」

「私が就活をしていたのは10年ほど前ですが、現場で活躍している方々が、」

「その取り組み工程をマニアックに、かつ誇らしげに語ってくださっていた『その姿に憧れて』入社を決めました」

「今日、皆さんが『職場の現状や課題』を話してくださっていた真剣な姿を見て、当時の自分を思い出しました」

「ウチの現場には、『一年中、止めることが許されないライン』も存在していて、、」

「それは、早朝だろうが、深夜だろうが、台風だろうが、大雪だろうが、それを継続してくださっている『現場の皆さん方の支えがあってこそだ!』ということは全社員が理解しています」

「若輩者の私ですが、『全社員を代表して』改めて御礼を伝えさせてください」

「いつも本当にありがとうございます」

皆さんの顔を見渡し、深々とお辞儀をしている姿に、現場を支えるリーダー層の皆さんから拍手が広がりました。

Yさんは、頭を起こし、

「私は今月から、人事として『現場の人材育成』に携わらせていただくことになりましたが」

「皆さんが、より誇らしげな気持ちになっていただけるような、職場づくりに精進しますので、小さなことでも結構です。何なりとご意見をください。本日、おつかれさまでした」

そんな締めの挨拶に、普段だったら、「やっと終わったわ」「長時間しんどかったわ」とでも言いたそうな顔をしながら、サッと帰っていく現場リーダーの皆さんが、「Yくん、ありがとうな」「近くに寄ることあったら声かけてな」「今度メシでも行こうや」と何人もの「現場の猛者たち」から声がけが続いていたのでありました。

 

 

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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