第294回 評価の解釈(30/100点)

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/評価の解釈(30/100点)

 

某大手さんの「プレゼン研修」終わりに参加した「懇親会」でのこと。

3年目の営業Tくんが同期たちにこんな話をしていました。

「一昨日、新規案件で『結構大きなプレゼン』があったんよ」

『それなりに準備して』臨んだんやけど、まあ、『それなりやったな…』って思ってな」

「で、『結果』はどうだったん?」の声が上がると、Tくんは少し肩をすくめて答えます。

「まだ先方からの返事はないんやけど、同行してくれはった上司からは一言、『今日のお前のプレゼンは30/100点やな』って」

一瞬、微妙な空気が流れます。

同期たちからは「厳しいな、それは凹むやろ…」などの声が。

確かに、「30/100点」といえば赤点スレスレ。

社会人3年目ともなれば、「自分の力不足」を突きつけられるのは痛いもの。。

ところが、Tくんは笑顔でこう続けます。

「まぁ、『伸びしろだらけ』ってことやよな!」

「減点評価」がめずらしくない大手さんにおいて、低い点数を突きつけられると、多くの人は反射的に落ち込みがちです。

ですが、“評価を『否定』ではなく『余白』”として受け止められる人は、“次の行動の質や量、スピード”に大きな変化が生まれやすい。

Tくんはまさにそれを体現していたのでしょう。

後日、フィードバックを伝えた上司のAさんとお会いする機会がありましたが、、

実は「危機感を持ってほしい」というのが本音だったそうです。

ただ、Tくんにはそれがあまり伝わらなかったようで……。

でも、Aさんも最後には「まあ、あの明るさは『彼の魅力』ですよね」と笑っておられました。

評価をどう「解釈」するかは、受け取る側の「作法」であり、伝える側の「工夫」でもある。

30/100点は、ゴールではなくスタート地点。

伸びしろがあるからこそ、「次の挑戦」が待っているのかもしれませんね。タカマツにも伸びしろがほしいのであります。

 

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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