このコラムについて
「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。
本日のお作法/聖なる夜の過ごし方
12月24日 Christmas Eve 。
飲食業界では書き入れ時の聖なる夜に、「丸亀製麺」が「全店舗でのディナー休業」を発表したとき、業界内外に驚きが走りました。
ある店舗の店長さんは、「今年は娘とケーキを一緒に作る予定なんです」と、照れながら話しておりました。例年なら、繁忙期の残業で帰宅は深夜。“家族写真に自分だけ写っていない年”もあったとか。
それが今年は「最初から一緒にいられるんです」と、どこか誇らしげ。
背景にあるのは、同社が掲げる「心的資本経営」という考え方。
これは単なる福利厚生ではなく、従業員とその家族の“心の豊かさ”を経営資源と見なす、新たな人材戦略です。
「丸亀製麺」はこれまでも、チェーンの常識であるセントラルキッチンを使わず、店舗ごとの手打ち製麺にこだわるなど、「非効率」に見えるやり方を「価値」に転換してきましたが、その根底にあるのが、「KANDO(感動)」を届けるという信念。
従業員自身が満たされてこそ、「心からの接客」や「美味しさ」が生まれる。今回の「休業判断」も、その延長線上にあります。
SNSでは「素晴らしい決断」「働きたくなる会社」といった声が続々と寄せられ、企業イメージも向上。
人手不足が深刻な外食業界において、「“心”を経営に取り入れる」この取り組みは、「採用・定着」の両面で注目を集めているのであります。


















