中東で見つける小さなブルーオーシャン
第3回「ドバイのお金持ちの正体は?」

日本人は中東を「イスラム教の国々」と一括りにしてしまいがち。でも中国・北朝鮮・日本がまったく違う価値観で成り立っているように、中東の国だって様々です。このコンテンツではアラブ首長国連邦(ドバイ)・サウジアラビア・パキスタンという、似て非なる中東の3国でビジネスを行ってきた大西啓介が、ここにしかない「小さなブルーオーシャン」を紹介します。

質問:ドバイのお金持ちってどれぐらいお金持ちなんですか?ZOZOの前澤さんぐらいですか?

どのくらいお金持ちなんでしょうね……?
私には具体的な金額はわかりません。

まず、メディアのドバイ特集や美容整形クリニックのCM等を見ると、「ドバイにいるヤツ全員金持ち」と錯覚してしまいがちですが、実際はそういうわけではありません。

ドバイやアブダビなどの首長国から構成されるアラブ首長国連邦(UAE)には、約900万の人々が居住しています。

彼らはざっくりと、

A. 外国人労働者
B. UAE国籍の人

に分かれますが、9割がAの出稼ぎ労働者です。
彼らの中にも金持ちがいて、ドバイで仕事をしている我々のイラン人顧客はロールスロイスに、日本車好きのインド人顧客はレクサスに乗っています。
彼らは事業でお金を稼いでいますが、どちらかと言えば貧しい人が多数派です。

いわゆるドバイの金持ちと言ってイメージされるのはBの人々。
国籍で優遇される彼らの初任給平均は、100万円を超えると聞いた記憶があります。
税金事情も日本とはかなり違っており、VAT(付加価値税と呼ばれるいわゆる消費税のようなもの)はあるものの、所得税は課税されず、教育費や医療費も基本タダなので可処分所得が大きくなります。
彼らの金持ち具合は、このあたりの事情から推して知るべし、といったところでしょうか。

おそらく、ドバイの金持ちは事業家タイプというより既得権益タイプが多いと思います。
そういう意味では前澤さんとは少し種類が違うかもしれません。

ドバイでは、日本であまり見かけないスーパーカーが走っていたり、ウーバーを呼ぶとテスラが来ることもあります。
全体的にカネのにおいがする街なので、何かと話題になりますが、ビジネスの観点からは競争が多いのも事実ですから、ブルーオーシャンを探すなら周辺地域に少し目を向けてみるのも手です。

UAEの周辺諸国、サウジアラビアやクウェートなどの産油国だけではなく、一般に貧しいと思われている国にも富裕層は存在します。
彼らは海外の良いものにはお金を使うため、高品質を謳っている日本製品にも十分チャンスがあると思います。
たとえば、パキスタンの富裕層の割合は約10-15%と言われますが、人口は2億人以上ですから1%でも200万人いるわけです。
一方、ドバイの富裕層は90万人。
競争も少なくない。
このあたりを考えれば、何か商売のチャンスが見えてくるかもしれません。

24秒間のドバイドライブ!


 この記事を書いた人  

大西 啓介(おおにし けいすけ)

大阪外国語大学(現・大阪大学)卒業。在学中はスペイン語専攻。
サウジアラビアやパキスタンといった、どちらかと言えばイスラム感の濃い地域への出張が多い。
ビビりながらイスラム圏ビジネスの世界に足を踏み入れるも、現地の人間と文化の面白さにすっかりやられてしまった。
海外進出を考える企業へは、現地コネクションを用いた一次情報の獲得・提供、および市場参入のアドバイスを行っている。
現在はおもに日本製品の輸出販売を行っているが、そろそろ輸入も本格的に始めたい。大阪在住。

写真はサウジアラビアのカフェにて。

 

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