庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第109回 文化の違いを乗り越える、グローバル時代の庭づくり

最近、インバウンドの影響もあって日本に住む外国人の方がどんどん増えていますよね。それに伴って街の景色も変化しているように感じるんですよ。文化が違えば家の好みや庭の好みも違ってくるから、当然と言えば当然なんですけど。

そのあたりはどうされているんです? 施主さんの希望を最大限に尊重する、というのが中島さんのスタイルですよね。とはいえ異文化のデザインをそのまま持ち込むと、日本の街並みから浮いてしまいそうです。

ええ。プライベートな空間は守りつつ、外に対しては圧迫感を与えない。そういうバランスを大切にしています。これは庭だけじゃなく家も同じで、個性的なデザインの建物だったとしても、木々でやんわりと覆ってあげれば、街の景観には溶け込んでくれるので。

注文住宅を建てるというよりは、建売住宅や中古物件を購入されるケースが多い印象です。だから建物が極端に異質ということはあまりないかもしれません。それよりも、文化の違いからくる生活音などが話題になることの方が多いですね。

でも今後は、経営者などの富裕層の方が家族連れで移住してくるケースも増えると思うんです。日本で子育てをしたいと考える方も多いようですし。そうなったら「ぜひ中島さんにお庭をお願いしたい」という依頼が来るんじゃないですかね。

いいですねぇ。日本が好きで移住してくる方なら、きっと日本の美意識も尊重してくださるでしょうし。異文化のデザインを取り入れつつ、地域にも配慮した美しい庭。そんな新しい庭のスタイルが、これから日本各地で生まれてくるのかもしれません。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。