庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第112回 大学経営の新戦略は「庭」にあり

そうですね。やはり季節の移ろいを肌で感じられるような場所にしたいです。わざわざ遠くの名所に行かなくても、キャンパス内で美しい紅葉や花々が楽しめる。そんな環境があれば、学生たちの心も豊かになる気がします。

ああ、素晴らしいですね! 近隣の方々にとっても憩いの場になって、大学のイメージアップにもつながりそうです。ただ学校となると、近隣からの落ち葉などの苦情や、維持管理の手間が問題になりがちですよね。

そうなんですよね。実際に「管理が大変だから木を切ってほしい」という依頼を受けた話はよく聞きます。だからこそ管理の手間は最小限に抑え、かつ学生が癒やされる空間をどう作るか。そこが我々の腕の見せ所です。

ただ木を植えるだけでなく、例えば日除けのタープなどを設置して、屋外でも快適に過ごせる居場所を作ってあげるといいかもしれません。学生たちがランチをしながら談笑したり、本を読んだり。キャンパスがもう一つのリビングのようになるイメージで作れたらいいなぁと。

いいですね! アメリカの大学の、広々とした芝生で学生が思い思いに過ごしている光景に憧れたものですが、まさにそんな自由な雰囲気が生まれそうです。そう考えると、やっぱりキャンパスに芝生は欠かせないんでしょうね。

そうですね。芝生は管理が大変なイメージもありますが、きちんと計画すれば素晴らしい空間になります。ゴルフ場のように、美しく手入れされた芝生と木々のコントラストは本当にきれいですから。機械での芝刈りがしやすいように、緩やかな起伏をつけるなどの工夫は必要ですが。

ああ、なるほど。初期投資や維持コストはかかりますが、学生募集のための広告費を考えれば、キャンパスという「資産」に投資する価値は十分にあると。中島さんが以前、剪定で入られた大学の庭は、いかがでしたか?

そう考えると、こちらから提案するのもいいかもしれませんね。クリニックの庭が患者さんを癒やすように、大学の庭は学生を育て、人を呼び込む力になる。大学の関係者の方でご興味をお持ちいただいたら、ぜひお問い合わせいただきたいですね。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。