庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第121回 「夏の日陰」と「冬の日当たり」を操る庭づくり

以前もお話しましたけど、最近、都市部の日当たりが良すぎることが問題になってますね。夏の強すぎる日差しをどう遮るか、つまり「日陰」をどう庭に取り込んでいくかも重要になってきているんじゃないですか?

確かに人が入れる日陰を作ろうと思ったら、それなりに大きな木じゃないと無理ですもんね。高さでいうと4、5メートルくらいは必要でしょうし。でもですよ、木があることのメリットって、もっと根本的な温度変化にあるような気もするんです。単に直射日光を遮るだけじゃないというか。

そうでしょうね。最近は雑草対策で庭をコンクリートで埋めちゃう家も増えてますけど、あれは温度という観点から見ると、家全体を温めてしまっているようなものでしょう? これだけ夏が暑いのに、さらにそれを加速させてしまっているというか。

本当に死活問題になりつつありますよね。知り合いの建設会社さんが、資材置き場を使いやすくするために、元々砂利だった場所をアスファルトに変えたそうなんです。そしたらその年の夏に社員が3人も熱中症で倒れてしまったらしくて。

なるほどなぁ。ちなみに「西日がきついから何とかしたい」という相談も多いと思うんですが、そういう場合はどう対処するんですか? 西日って高度が低いから、部屋の奥まで差し込んできて眩しいし暑いんですよね。

西日対策の場合は、落葉樹ではなく常緑樹を使います。窓の高さよりも少し上の、3メートルくらいの木を植えるだけで、差し込む日差しはほとんど解消できるんです。ただ、4、5メートルになると狭い庭では圧迫感が出るので、3メートルくらいで成長の遅い「ソヨゴ」のような木を選ぶことが多いですね。

理想を言えばそうなりますね。リビングを南向きではなく東や北向きに配置すれば、庭も西日の影響を受けにくくなりますし。山の中を想像してもらうとわかるんですが、木々が密集しているので、一日中直射日光が当たっている木って意外と少ないんです。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。


















