第131回 現代住宅に「縁側」の心地よさを取り入れる方法

この対談について

庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。

第131回 現代住宅に「縁側」の心地よさを取り入れる方法

安田

私、昔から「縁側」への憧れがすごく強いんです。縁側で日向ぼっこをしたり、庭を見ながらお茶を飲んだり。パソコンを持ち出して仕事をしてもいいですよね。旅館なんかに行くと縁側があって、そこから景色が見えたりして「ああ、これだよな」としっくりくるんです。


中島

いいですねぇ。日本人のDNAに刻まれている心地よさみたいなものがありますよね。

安田

そうそう。でも現代の住宅ってデザイン的に縁側がなじまないような気もして。中島さんはよく「家と庭をつなぐ」という話をされていますが、モダンな住宅でも中島さんの手にかかれば、縁側のような空間は作れるものなんですか?


中島

昔ながらの「縁側」を現代の住宅で再現しようとすると、建築の段階から組み込まないと難しいですね。でもその代わりとなる「デッキ」であれば、ご希望に近いものは作れると思います。

安田

ああ、なるほど。でも縁側は家の中、デッキは家の外ですよね。一番の違いは「裸足で行けるか、靴を履いていくか」だと思うんです。


中島

そうですね。外にある以上、どうしても埃で汚れますから、裸足でそのまま出るというのは現実的ではないかもしれません。ただ、リビングの床と高さをフラットに揃えることで、視覚的なつながりを持たせることはできます。

安田

段差をなくして、リビングがそのまま外へ続いているように見せると。それだけでも広がりは感じられそうですね。素材はやっぱり木を使うんですか?


中島

本当は天然木の方が温かみがあっていいんですが、メンテナンスの問題があります。天然木、特にソフトウッドと呼ばれる杉などは、定期的に塗装をしないと腐ってしまいますから。

安田

そうですよね。憧れだけで天然木にして、数年でボロボロになったら悲しいです。


中島

杉の場合、一番腐りやすいのが、板と下の土台を固定するビスを打った穴の周辺なんですね。そこから水が入って腐食が進んでしまう。早いと3年〜5年で作り替えが必要になることもあります。

安田

3年は厳しいですね。家の外装と同じで、せめて10年くらいは持ってほしいところです。となると、樹脂製が主流になるんでしょうか。


中島

耐久性を考えれば樹脂デッキが現実的です。ただ、それも夏場は裸足で歩くのは危険なくらい、猛烈に熱くなってしまったり、経年劣化で色が白っぽく褪せてきたりもするので、一長一短ですね。

安田

うーん、なるほど。昔の縁側のように、夏は涼しく冬は暖かい場所を作るのは現代の環境では難しいんでしょうか。温暖化の影響もあるでしょうし。


中島

昔の家のように深い軒があれば、デッキも雨や直射日光から守られるんですが、最近の住宅は軒が短いか、全くない箱型の家が多いですから。

安田

ああ、そうか。家の形自体の変化も影響しているんですね。じゃあ、中島さんがもし自分の家に「現代版の縁側」を作るとしたら、どういう設計にしますか?


中島

僕なら「石張りのテラス」にして、上に「タープ」を張りますね。

安田

ほう、石とタープですか。木や樹脂ではなく、石を選ぶ理由は?

中島

石は耐久性が段違いなんです。腐ることもないですし、色あせも味になります。樹脂デッキより初期費用は1.5倍くらいかかりますが、メンテナンスフリーで半永久的に使えることを考えれば、コストパフォーマンスは一番いいと思います。

安田

確かに、石なら腐りませんもんね。でも夏は熱くなりませんか?

中島

そこでタープの出番です。日除けのシェードを張るだけで、体感温度は7度くらい下がります。直射日光を遮れば、石の表面温度もそこまで上がりません。

安田

なるほど! タープで「軒」の代わりを作るわけですね。

中島

そうです。しかもタープなら、冬場は巻き上げてしまえば暖かい陽射しを取り込むことができます。固定された屋根だと冬場に部屋が暗くなってしまいますが、タープなら季節に合わせて調整できるのが最大のメリットです。

安田

は〜、理にかなってますね。夏は日陰を作って涼しく、冬は日向ぼっこができる。まさに縁側の機能そのものじゃないですか。

中島

ええ。石のテラスをリビングの床の高さに合わせて作って、そこにテーブルと椅子を置く。そうすれば、靴を履いて出る手間はありますが、感覚的にはリビングの延長として「縁側」のようにくつろげる空間になります。

安田

いいですねぇ。中島さんの提案する「石のテラス+タープ」の組み合わせなら、モダンな家にも似合いそうですし、何より実用的です。つまり古いものをそのまま持ってくるのではなく、本質を理解して今の形に作り直すと。

中島

仰るとおりです。縁側でお茶を飲むような、ゆったりとした時間を現代の忙しい方々にも味わっていただきたいですね。

 


対談している二人

中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役

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高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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