庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第93回 人の手で作る「自然らしさ」とは

なるほど。でも森が「荒れる」って、誰目線なんでしょう。人間から見た景観が悪いという意味なのか、それとも動植物にとっても不都合な状態なのか。人が手を加えた森って、木がまっすぐに整っていて、たしかに綺麗なんですけど、どこか不自然にも感じてしまって。

ええ。とはいえ人間も自然の一部ではあるわけで、人が関わること=自然を破壊すること、とも言えない気がして。中島さんはよく山に行かれるじゃないですか。手の入った森とまったく手つかずの森だと、どちらが健康的に見えます?

ええ。見た目を整えるというだけでなく、風通しや生態系のバランスを保つためにも手入れは必要だと思います。まぁ、自然本来の姿としては、弱い木が枯れて、強い木が生き残るのが自然なのかもしれませんけど。

いや、でもその感覚はわかります。丁寧に手入れされた木は、生き生きして見えますもんね。一方でブツブツに切られしまった街路樹のように、病気みたいに見えることもある。

そうかもしれません。実際、昔の里山って人の手が入りながらも自然とうまく調和していましたし。

以前、屋久島に行ったことがあるんですけど、苔の美しさや川が流れる景観が、整っているけど不自然じゃないんですよ。倒木がきれいに片付けられていたり、光が入るように工夫されていたり。いかにも「人がやりました」って感じではなくて、さりげなく整えられている。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。