第120回 経営者になるなら学校の勉強は必要?

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第120回 経営者になるなら学校の勉強は必要?

安田

今日は中辻さんに、学校の勉強はどれくらい役に立つかというのをお聞きしたくて。というのも中辻さんって15歳で妊娠・出産をご経験されていることもあり、学校にはあまり通われていなかったじゃないですか。


中辻

そうですね。中学2年生の頃には不登校だったし、高校も行っていないので。

安田

それでも今は『マメノキカンパニー』を立派に経営されているわけです。ということは学校の勉強なんて、ビジネスにはあんまり必要じゃないんですかね?


中辻

うーん、どうなんでしょう(笑)。ただ私は、勉強はさておき、「学校を卒業すること」、つまり学歴は大事だと思ってます。

安田

ほう。ちょっと意外な答えです。どういう意味で学歴が大事だと?


中辻

だって今の日本は、まだまだある程度の学歴が必要じゃないですか。それがないと、自分がしたいことを選べる立場に立てないことが多い。私はたまたま久保さんと知り合えたからこういう立場になっていますが、やっぱりこういうのはレアケースだと思うんですよ。

安田

運が良かっただけだと?


中辻

そうそう。だって私みたいに中卒でシングルマザーで…っていう立場で、それでこんな風に会社経営を任せてもらっているなんて、全国的に見ても少数だと思いますよ。

安田

確かにそうでしょうね。でも今の時代、社会でお金を稼いでいこうとしたら、学歴だけじゃダメになってきている。どんな大学を卒業していようが、やっぱり実力がないと上にはいけないわけで。


中辻

でもそういう意味でも、学校に通った経験が大事になるのかもしれませんね。人とのコミュニケーションの取り方とか、他者への気遣いとか、そういうものを嫌でも学べる環境だと思うので。

安田

まぁ確かに、社会に出た後の予行練習的な面はありますよね。


中辻

そうそう。他人と共同で何かを使ったり、同じ空間で何かを作り上げたり。そういうことの面白さや重要性に気づけると思うので。

安田

うーん、そこまでですか?(笑) 私自身は学校でそんなに重要なことを学べた実感はないのですが(笑)。


中辻

…まぁでも、私もまともに学校に行っていないので、正直わかんないです(笑)。ただ、やっぱりある程度学校に長く通っている人の方が、人としての成熟度も高いんじゃないでしょうかね。

安田

いやぁ…どうでしょう?(笑) むしろ学校に真面目に通い続けた人の方が、すごく狭い価値観の中で生きていたりしますよ。「大学まで出たんだからいい会社に入らなきゃ」とか「大卒なのにこんな仕事をしちゃいけない」とか考えちゃって。


中辻

あぁなるほど…。そういう見方もあるわけですね。

安田

そうそう。実際に中小企業の社長さんってそれほど学歴が高くない人も多いんですね。でも独学で勉強しているし、人生哲学もしっかりされている。そう考えるとますます、高い学費を払ってまで進学する必要はあるのかなと思ってしまうんですよね。


中辻

そうか…。私は若い頃に学校に通えなかったからこそ、逆にすごく憧れがあるんでしょうね。なんなら今、大学で学び直したいって考えているくらいですし。

安田

へぇ! そうなんですね。


中辻

ちょうどこの1年くらいで考え始めていたことで。大学で自分の興味があることを学びながら、仕事も両立させてみようかなと考えているんです。そういう意味では私の意見はあまり参考にならないのかもしれません(笑)。

安田

笑。もちろん中辻さんのように、「学びたい」という気持ちがあって進学するならとても有意義なことだと思いますけどね。今って皆とりあえず「就職予備校」的に進学して、学歴を買って、結果、ろくに学校にも行かずにバイトばっかりしていますからね。


中辻

確かに「いい会社に就職するためには大学は出ておかなきゃ」って思っている人が大多数なのかもしれないですね。半分は正解なんだとしても、それだけだとなんかもったいないですね〜。

安田

いや、本当にねぇ。ちなみに中辻さんって漢字は苦手だそうですが、数字には強いイメージです。


中辻

確かに私、数字には強いですね。パッと見ただけでなんとなく違和感に気付けたりします。

安田

そうですよね。それってやっぱり数学の勉強をちゃんとしてきたからなんですか?


中辻

いやぁどうなんやろう…。学校の授業では経営的な数字の見方なんて習ってないし。やっぱり学校の勉強はあんまり関係ないんかな(笑)。

安田

笑。なんにせよ数字に強いというのは、経営者にとってかなり大きなアドバンテージですよ。


中辻

数字って、良くも悪くも全部を出してくれるじゃないですか。体感で儲かっているかどうかを論じるよりも、最終的には数字しか信頼できない。だからこそ私としては数字を求める傾向が強いんだと思います。

安田

ふ〜む、それはマメノキカンパニーをやり始めてから身につけていったことなんですか?


中辻

いえ、ペイント王久保社長と一緒に働き出した頃からですね。久保さんに数字の大切さを教えていただいたというか。例えばポスティングだって「なんか反響良かったですね〜」じゃダメで。「どこから何件反響があった」とか、ちゃんと全部データで取っていますからね。

安田

なるほどなるほど。ちなみに学生の頃から算数や数学は得意でした?


中辻

言われてみると、確かに中2までは数学が得意だったことを思い出しました! あとは若い時からお金の計算ばっかりしているのも数字に強い理由かもしれません(笑)。

安田

なるほど(笑)。きっともともと数字に関するセンスがあったんだと思いますよ。だからこそ今、その強みを発揮して経営者として成功されているんでしょうね。

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

Twitter

1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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