第137回 クリエイティブな世界で、AIはどう使われるのか?

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第137回 クリエイティブな世界で、AIはどう使われるのか?

安田

最近巷ではAIを活用する人が増えているようですが、中辻さんはどうですか? 仕事でもバリバリ活用しています?


中辻

ChatGPTは多少使ってますけど、「バリバリ活用している」ってほどではないかな。

安田

へぇ、そうなんですか。ちょっと意外です。中辻さんはそういった新しい技術を積極的に取り入れるイメージがあったので。


中辻

う〜ん、そうですか? それで言うと『ペイント王』久保社長の方がそういうタイプかもしれません。ChatGPTに関しても、これだけ世の中で流行る前から触ってましたもん。「チャッピー」なんて愛称もつけて(笑)。

安田

なるほど(笑)。でも確かに久保さん、そういうのが好きそうですもんね。ちなみにどういう活用をされていたんです?


中辻

いろんな本を読ませて知識をつけたり、会議で「チャッピーの意見を聞いてみよう」なんて言い出したり(笑)。

安田

いいですね(笑)。でも実際、部下に細かく指示を出すのって大変じゃないですか。そんな時に、自分の代わりをしてくれるAIがいたら便利だとは思いません?


中辻

う〜ん、確かにそう言われると「便利そうだな」とは思うんです。とは言え、私はまだ自分の頭で考えて、分からなかったらGoogleで検索するってやり方から抜け出せてませんね。

安田

そうなんですね。それは単純に癖の問題なのか、それともAI自体にあまりポジティブな印象がないのか、どちらなんです?


中辻

両方あるでしょうね。後者に関しても、不正確な情報をさも正しいことのように言ってくるイメージがあって。高額の課金をしたらまた違うのかもしれませんけど。

安田

確かに安いプランだと、結構平気で嘘ついてきますからね。


中辻

ですよね。だから私はAIにしろGoogleにしろ、必ず複数の情報を調べてから結論づけるようにしています。久保さんほど「何でもチャッピーに聞けばいい」という思考には、まだなかなかなれないですね(笑)。

安田

笑。ちなみに久保さんは有料版を使っているんですよね?


中辻

ええ。ちなみに私のも有料版です。でもなんででしょうね、私のAIは久保さんのようにうまく育ってくれなくて(笑)。信用していないのがバレているのかもしれない(笑)。

安田

そこを見抜かれているんですよ、きっと(笑)。でもね、AIを育てるのは楽しいですよ。私も自著をたくさん読ませているんですが、「このトピックについて安田佳生風に考えて」って言うとそれっぽい答えが返ってきますから。


中辻

そうなんですか! へぇ〜それはすごい(笑)。ちなみに実務レベルの話をすると、ペイント王では外壁のカラーシミュレーションをすべてAIでやるようになりましたね。

安田

お〜それは素晴らしい。手動でやっていた時よりも、かなり時短になったんじゃないですか?


中辻

そうなんですよ。今まではお家の外観写真を撮って、データをパソコンに取り込んで、Photoshopというデザインソフトでデザイナーが手作業で外壁の色を塗り替えていたんですけど、それがAIだと数分で完成するようになっちゃって。

安田

それはいいAIの活用例ですね。『マメノキカンパニー』さんの方でも、チラシの原案作成なんかにAIを使えたりしそうですけど。


中辻

実は試してみたことはあるんです。ただChatGPTの画像って日本語の描写に弱くて。実際のチラシを読み込ませて「このチラシの改善案を出して」って言ったら、英語とか中国語とかハングルが混ざったチラシができ上がりました(笑)。

安田

あ〜よくありますね、そういうこと(笑)。


中辻

画像生成に特化したAIを使えばマシなのかもしれないですけど。お客様に見せるチラシデザイン案としては、まだまだ課題が多いような気がします。

安田

なるほどなぁ。でもこのまま技術がどんどん進化していったら、そのうち人間が作ったものと遜色ない作品が作れるAIが出てくるかもしれませんよ?


中辻

そうですねぇ…。ただ私はAIで生成されたものにはあんまり魅力を感じられないんですよね。AIで作られたイラストって不自然に美しすぎません?

安田

わかります。しかも、すごく細かなところまで書き込まれているわりに、指が6本になっていたりもしますからね(笑)。


中辻

そうなんですよ(笑)。そういう意味では、データを収集するとか整理するとかには強いけど、デザインやイラストといった分野は実用レベルには達していない、という印象ですね。もちろんこの先どうなるかはわかりませんけど。

安田

なるほど。わかりやすい着地ですね。少なくとも現時点では、クリエイティブに関しては人間にまだ軍配が上がるということですね。

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

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1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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