第140回 経営者の仕事の「合格点」

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第140回 経営者の仕事の「合格点」

安田

『マメノキカンパニー』を経営する中辻さんにお聞きしたいんですが、経営者の仕事ってどこまでやれば合格だと思います?


中辻

うーん、難しい質問ですね。経営者って、やるべきこともやりたいことも無限にありますよね。

安田

まさにそこが難しいところなんですよね。目の前のことばかりやっていたらジリ貧になってしまうし、先のことばかりやっていたら売上が立たない。


中辻

わかります。それに、クライアントさんの要望と社内の課題、どちらにリソースを割くのか、みたいな視点もあるじゃないですか。私はどうしても前者を優先しちゃうんですけど。

安田

まぁそうなりますよね。クライアントを放っておいて社内改革ばかりしていたら、そっぽ向かれちゃいますよ(笑)。


中辻

そうですね(笑)。なので社内のことはいつも後回しになってしまって、先のことと言っても2〜3年先くらいまでのイメージしかないかなぁ。

安田

ほう。2〜3年先まで考えているだけでもすごいと思いますよ!


中辻

そうですか? ありがとうございます(笑)。自分の中ではまだまだ「経営者として合格」って感じでもないんですけどね。危機感をいっぱい感じながら過ごしてます(笑)。

安田

いやでも、それが重要なんだと思うんですよ。危機感のない経営者の方がまずいというか。今が安泰だからといって、5年先も大丈夫なんて保証はないわけで。


中辻

本当にそうですよね。今の事業がずっとうまくいくかはわからない。だからこそ新しいビジネスを立ち上げようとか、新規の取引先を増やそうとか、そういう視点を常に持っていないといけない。

安田

でもそういうことを全然考えていない経営者、いっぱいいますよ(笑)。


中辻

笑。あ、あと外にアンテナを張っておけるかどうか、ってのも大事じゃないかな。先を考えていると言っても、それが「社内」のことだけじゃ意味がない。ちゃんと業界全体、あるいは社会全体の情報を仕入れ続けてないといけないというか。

安田

確かに確かに。最低でも競合の動きは逐一把握しておくべきですよね。そうじゃないとあっという間にシェアを抜かれちゃったりする。


中辻

そうなんですよ。だから一番手だってあぐらをかいてちゃ絶対に駄目で、むしろ一番だからこそ、常に新しい何かを生み出していかなきゃいけない。

安田

いやあ、素晴らしい。ちなみに中辻さんは2〜3年先のために、今どんな手を打っているんですか?


中辻

デザイン部門を拡大させたいなと考えています。というのも、ウチは今、ポスティング業務とデザイン業務の比重が「8対2」くらいなんですね。

安田

ポスティングの方が圧倒的に多いと。


中辻

そうそう。でも私の見立てでは、チラシはこれからどんどん減っていくと考えていまして。もちろん紙媒体には紙媒体の良さがあるので、ゼロになることはないだろうし、ポスティングの仕事も完全になくなるとは思っていません。ただこれからますますWebマーケティングが伸びていくのは間違いないなと。

安田

なるほど。デザイン業務だったら、紙でもWebでも求められるクオリティに大差はないですもんね。


中辻

仰るとおりです。だから「魅力的な広告を生み出す」ことができるデザイン部門を拡大させていきたいと考えています。

安田

ポスティング業務だと地域を広げるのはなかなか難しいですが、デザインだったら全国のクライアントから仕事を受けることもできますもんね。泉大津市にいながら「日本一チラシをデザインしている会社」を目指すこともできると。


中辻

そういうことです。今も全国からご依頼は受けているんですが、いかんせん、デザイナーが2名しかいないのでお受けできる案件数に限りがあるんですよね。だから数年以内にもう少しキャパを増やしたいと思っています。

安田

いいですね〜。ちなみに3年後くらいには、デザイン業務とポスティング業務の比率をどのくらいにしたいとお考えですか?


中辻

ズバリ「5対5」を目指しています!

安田

なるほど、素晴らしい。最後に1つお聞きしたいんですが、中辻さんって未来のことを考えるためにあえて「仕事のスケジュールを何も入れない時間」って作っています?


中辻

いやぁ…それはあんまりやっていないですね(笑)。

安田

やっぱりお忙しいから、そういう時間を取るのは難しい?


中辻

そうですね。あ、でもお風呂に入っている時なんかには、よく考えています。自分が一番リラックスしている時間に、急にアイディアが降ってくることが多くて。慌ててお風呂から上がってメモすることもよくあります(笑)。

安田

なるほど(笑)。3年後のマメノキカンパニーさんがどう進化するか、私も楽しみにしています!

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

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1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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