第145回 大手コンサル会社に、チラシを丸パクリされた事件

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第145回 大手コンサル会社に、チラシを丸パクリされた事件

安田

中辻さん、なんだかお疲れのようですが、どうしました?


中辻

わかりますか? 実は昨年末に精神的にダメージを受ける事件がありまして。未だにその後処理に振り回されているんです

安田

おっと、それは穏やかじゃないですね。いったい何があったんです?


中辻

めっちゃ大手のコンサル会社に、ウチが作ったチラシを99%丸パクリされたんです!

安田

え?! そんな非常識な会社、どこですか?


中辻

弁護士さんにも入ってもらっているので、さすがに記事で実名は出せませんがとある上場企業です。安田さんにはこっそりお伝えしますけど

安田

(名前を聞いて)あぁ、あそこですか。昔からそういったよくない噂を聞きますけど、まだそんなことしているんですね。


中辻

しかもさらにひどいのが、そのチラシをパクったのはそのコンサル会社の営業部長だったんですよ!

安田

うわぁそれはひどい。でも、広告業界って昔からパクリの問題がよく話題になるんですよね。パクリまでいかなくても、「どこかで見たな~」というデザインは珍しくない。


中辻

そうなんですよね。私も「良いデザインだから参考にさせてもらおう」程度ではこんなこと言わないですよ。でも、最低限のルールってものがあるじゃないですか。トレースはしないとか、レイアウトはかえるとか。今回はモラルを疑うほど瓜二つなんですよ。コンプライアンスの欠片もない。

安田

そうですね、明らかなパクリは完全にアウトです。ちなみに今回はどういう経緯で判明したんです?


中辻

今回丸パクリされたチラシは、もともとウチがハウスメーカーのクライアント・A社に提案したチラシでした。で、そのクライアントさんは同時に件のコンサル会社ともお取引があったそうなんです。

安田

ふむふむ。それで?


中辻

で、ウチはA社さんに提案したチラシをポスティングしていくわけですが、たまたまコンサル会社の営業部長の自宅に、そのチラシが投函されたわけです。

安田

ん? でもその営業部長は、それが自分のところのクライアントであるA社のチラシだってことは当然わかっているわけですよね。それなのに、そのチラシを丸パクリしたってことですか?


中辻

そうなんですよ! 普通に考えたらおかしいでしょ? だけど営業部長はそのチラシをスキャンして、自社お抱えの広告会社に99%トレースでチラシデザインすることを依頼。そのデザインをあたかも自分たちがデザインしたもののように自社の別のクライアント・B社に提案して、ポスティングをし始めたんですって。しかもそれが今度はA社の関係者のご自宅に投函されたと。

安田

なんとA社の人も驚いたでしょうね。


中辻

でしょうね。A社側もすぐにコンサル会社に連絡してかなりきつく注意をしたんですって。それが去年の夏頃のお話。ところがコンサル会社はしれっとそのまま丸パクリチラシを投函し続けていたんです。で、去年の12月、ついにウチがこの事実を知ることになったというわけです。

安田

あ、去年の夏の時点ではA社からも報告はなかったんですね。じゃあどうやって中辻さんが知ることになったんですか?


中辻

ウチのポスティングスタッフさんが報告してくれたんです。「ウチのクライアントと全く同じデザインのチラシを見つけたんですけど」って。

安田

なるほどなるほど。そして実際にそのデザインを見ることになったと。


中辻

ええ。私ももちろん憤慨したんですけど、元デザインを作ったデザイナーの悲しそうな顔が本当に見てて辛くて。私たちはテンプレートを一切使わずに、クライアント一社、一社のためにものすごい時間と労力をかけてチラシを制作してるんです。

安田

それをパパっと真似されちゃったと。それは辛かったでしょうね。


中辻

もう本当に! デザイナーの努力をこんな形で軽々しく踏みにじった会社は許せなくて。ああいうのを「腸が煮えくり返る思い」って言うんでしょうね。

安田

そりゃそうですよね。それでその後はどうしたんです? 中辻さんのことだから、泣き寝入りはしなかったんでしょう?


中辻

もちろんです! まず丸パクリしているチラシの広告主であるB社に電話しました。「ウチがお客様に提案したものと瓜二つのチラシをポスティングされていますけど、どういうことですか?!」って。そしたら電話口の社長さんが「そんなことあります?!」ってすごく驚いていたんですよ。

安田

ほう。中辻さんからしたら「何を白々しい」と思っちゃった?(笑)


中辻

思いましたよ(笑)。でもB社の社長さんが言うには、このチラシについてはデザインからポスティングまで、すべてコンサル会社に一任しているんだと。それですぐにコンサル会社に連絡をしてくれて、折り返しで私に直接電話がかかってきたんです。

安田

おお、ついに対決ですね。どんなことを言ってきました?


中辻

B社さんから『A社のチラシと同じデザインにしてくれ』って無理やり頼まれたんですよ~。ウチとしてはA社さんもクライアントだし、真似るのはやめといたほうがいいですよって止めたんですけどね~頼まれたら断れない」って言われました。

安田

え、でもB社の社長はデザインに関しては全く関与していないって言ってたんですよね?


中辻

そうなんですよ! だから私もだんだんヒートアップしてきちゃって(笑)、B社の社長に「どういうことですか? あなた、何も知らないって言いましたよね? コンサル会社からの説明と全く違うんですけど!」というような内容をかなりキツめの文章にしてメールしました。

安田

中辻さんらしいですね(笑)。B社からはどんな返信がきました?


中辻

「どんな事情であれ自分たちも悪いし、ご迷惑をかけているのは重々承知している。でも自分たちはチラシの知識が何もないからすべてコンサル会社にお任せしている。だから私からチラシのデザインについて指示を出すなんてありえない」と連絡がきました。もう大混乱ですよ。何が真実なの? って。

安田

普通は、上場企業でもある大企業が嘘なんてつくわけないと思いますもんね。


中辻

そうなんですよ。だからB社の社長には「そちらとコンサル会社の間で話が食い違っているのであれば、まずはそちらの2社間で話し合ってください」って伝えたんです。そしたらね、コンサル会社から私に電話が来て、「すみません、先程は自己弁護のために事実と異なったことをお伝えしてしまいました」って!

安田

おぉ、ついに嘘を認めたわけですか。


中辻

ちなみに後からわかったんですが、私に電話をかけてきたのは、丸パクリを指示したあの営業部長だったんですよ。もう本当にその態度に「あんたらはモラルのカケラもないんか?!」ってめちゃくちゃイラついちゃって。チラシデザインを丸パクリし、それを私たちがポスティングしているエリアと同じようなエリアで配布した。しかもその事実が発覚した途端、お客さんに責任をなすりつける。やばくないですか?!

安田

やばいですね(笑)。それですべての事実が明らかになった後、コンサル会社はちゃんと謝罪に来ました?


中辻

2回来ましたね。社内の弁護士にもこれはアウトと指摘されたらしいです。そりゃそうですよ完全なトレースですもん。だけど、こちらが謝罪を受け入れるかわりに5つほど要望したことについては、ほぼすべて受け入れられないって言われてます。

安田

ほう。ちなみにどういうことを要望したんです? 損害賠償請求とか?


中辻

いえ、正直なところ、お金とかはどうでもよくて。それよりも、二度と同じことがおきないように社内できちんと再発防止策を練ってほしいとか、丸パクリした部長には相応のペナルティを科してほしいとか、そういったことを要望しただけなんですけどね。

安田

なるほど。自分たちが泥をかぶるような要求は飲んでくれなかったわけですね。


中辻

そういうことです。しかも代わりにされた提案がさらに腹が立つ内容で! 「我が社の経営研究会に無料でご招待します。そこでマメノキカンパニーさんも営業をして売上を上げたらいいですやん」って言われたんですよ!

安田

なんですかそれ。ふざけた提案ですね。


中辻

「中辻さんの会社も儲かるようにしてあげますから、今回のことは水に流しましょう」って言われているみたいで、どんだけ失礼な会社やねん! って怒り心頭でした(笑)。

安田

コンサル会社は、自分の会社が大企業だからって小さな会社を下に見ているんでしょうね。そういう企業風土というか。今後はどう動いていく予定なんですか?


中辻

ウチが出した要望の中で、彼らが唯一飲めるのは「顛末書を出すこと」だったんですけど、それが未だに届いていないので、まずはそれを受け取ろうかなと。本当はすべて実名でぶちまけたいところですけど(笑)、弁護士さんからは「落ち着いて対応しましょう」と止められているので堪えています。

安田

そうですね。今後、法的対処をするにしても、まずは冷静に顛末書をもらうのが得策だと思います。


中辻

そうですよね。ただ、実は話をきくと、このコンサル会社、5年前にも同様のことをしてトラブルになっているらしいんです。で、その時は社外には公表せず内々でコンプライアンス研修をした程度でもみ消したらしくて。

安田

なんともう組織自体がそういう考え方だということですかね。


中辻

どうなんでしょうね。ともあれ、その経緯を聞いているので、今回は自社のHPでしっかりと公にして泥を被って体制を見直してほしいと要望しましたがそれも通りませんでした。公表までする必要ないやろと。

安田

う~む、それを決めるのはあなた方ではない、という感じですけど。


中辻

本当にね。そういう状況なので、今回私たちがこれに屈したら、また同じことが起こると思います。だからこそ、時間はかかっても徹底的に争うつもりです。

安田

確かに、また悲しむデザイナーさんが出てきちゃいますもんね。しばらく落ち着かない日々が続くかと思いますが、また何かあればいつでもお話聞ききますよ!


中辻

ありがとうございます。安田さんに聞いていただけて、ようやくちょっとスッキリしてきました(笑)。

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

Twitter

1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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