第88回 会社の「未来」について考えてみる

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第88回 会社の「未来」について考えてみる

安田

これまでの対談を通じて、中辻さんは『マメノキカンパニー』や社員の皆さんに対して強い責任感を持っている方なんだなと感じます。だからこそ、会社の株や経営権も持っておいた方がいいと思っていて。


中辻

あぁ…最近私もちょっとずつ考え始めてはいますね。

安田

じゃあもし久保さんから「中辻さんに事業継承したい」って言われたらどうします? 中辻さんは久保さんの身内ではないので、株は相続じゃなく買い取ることになりますが。


中辻

それはもう、売っていただけるのであれば買いたいですね。

安田

え、本当ですか! 結構な借金を背負うことになりますよ?


中辻

うーん…なるべく安くでお願いしたいですけど(笑)。

安田

笑。マメノキカンパニーさんは、黒字化して儲かっている会社ですからね。ある程度の費用は払わないといけないと思います。ちなみに銀行から借金することになったとしても買いたいですか?


中辻

そうですね。それくらいの覚悟はあります。というのも、今の私の立場はただの「役員」なので、仮にM&Aをされた場合は私も解雇されてしまう可能性があるわけじゃないですか。そうなると、今一緒にやってくれている社員の子たちに責任が持てなくなってしまうなぁと。

安田

ははぁ、なるほど。中辻さんとしては、そこを一番危惧されているわけだ。


中辻

そうなんです。それに株を持っていろいろな責任を背負うことで、本当の意味で経営者として「一人前」になれるんだとも思うんです。だから借金を背負ってでも株を持っておくべきなのかなと。

安田

なるほどなるほど。ちなみにマメノキカンパニーさんのように、「株を持っているオーナーは会社にいなくて、実際に会社経営しているのはNo.2の人」というケースはままありまして。


中辻

No.2の人は、株は持っていないってことですよね?

安田

そうです。でもNo.2の頑張りによって会社がある程度大きくなってくると、「やっぱり自分にも株を持たせて欲しい」という話になるんですよ、必ず。


中辻

あぁ…気持ちはよくわかります。部下の子たちのことを考えたら、自分にも決定権を持たせてもらいたいって思うんでしょう。

安田

ええ。実際、経営をしていれば思い切って舵を切らなきゃいけない場面も多い。なのに決定権は自分にはない。このズレが苦しくなるんですよ。


中辻

うんうん…わかるなぁ(笑)。

安田

ただ一方で、No.2の人ってオーナーさんにお世話になってきたっていう人が多いんですよ。恩義を感じているからこそ「株を売ってくれ」とはなかなか言い出せない。そのまま時間が過ぎちゃって、「やっぱり売ってもらおう」と決断した頃には会社も大きくなっちゃってて、かなりの金額を出さないと買えなくなってしまうんです。


中辻

なるほど、それで結局No.2の人は、会社の株を買うのと同時に、多額の借金を背負うことになってしまうんですね。

安田

そうなんですよ。私はこれまでにもそういう話をいっぱい聞いてきたので、ちょっとお節介ながら話題に出させていただきました。


中辻

ありがとうございます(笑)。でも今の私と久保さんの関係って、自分で言うのもなんですが、すごく絶妙なバランスで成り立っている気がしていて。「これ以上言ったら揉めるな」という線引きがうまくできているといいますか…(笑)。

安田

なるほど(笑)。そのバランスが崩れるくらいなら、今のままでもいいかもしれないと。…でも、もしかするとこれは新しいカタチの経営なのかもしれないですね。


中辻

ただ私自身も、コンサル会社の方や税理士の先生に言われて、ちょっとずつM&Aや事業継承の勉強はしていて。学べば学ぶほど、「やっぱり自分でも株を持っておいた方が良さそうだな」というのは感じていますね。

安田

ですよね。たぶんマメノキカンパニーさんであれば、まさに今が事業継承について考えるベストなタイミングなんじゃないかと思います。これ以上会社が大きくなってしまうと、買い取るために銀行から借り入れる金額も大きくなりすぎて、返済だけで人生終わっちゃう可能性もありますから(笑)。


中辻

それは嫌やなぁ(笑)。じゃあまずは久保さんとお話しないとですね。

安田

そうですね。私が知っている会社さんでは、実際に経営をしていたNo.2が自社株51%を買って社長になって、オーナーさんは会長として会社に関わっていく、としたところもあります。マメノキカンパニーや社員の方々の未来のためにも、ぜひご検討いただければと思います。

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

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1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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