第100回(最終回) 「ブラックな社長の正体、わかりました

この対談について

「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。

第100回(最終回) 「ブラックな社長の正体、わかりました

安田

ちょうど100話目ということで、今回が最終回になります。せっかくなのでこの対談企画の感想をいただけたらと思うんですけど。


西崎

率直な感想は、「非常にありがたかった」というところです。僕からすると安田さんは雲の上の存在でした。前職時代から存じ上げていましたし、当時ワイキューブは業界で最も有名な会社だったじゃないですか。

安田

当時はそうだったかもしれませんね。もうだいぶ前の話ですけど。


西崎

違った角度から攻める”“ワクワクすることをやる”“他がやらないことにチャレンジするという精神は、間違いなくワイキューブから受け継いだものだと思います。そんな会社を創業された安田さんとこうして話をさせてもらい、学びや気づきを得られたのは本当にありがたかったです。

安田

そんな風に思っていただけると私も嬉しいです。ただね、私自身の感覚で言えば、ワイキューブ時代のことはもう前世みたいに感じるんですよ。同じ人生の地続きというより、別人の人生の話を聞いているような感覚でして。


西崎

は~、そうなんですか。それは環境的に? それとも仕事内容的に?

安田

どちらもでしょうね。会社がなくなってから十数年、組織ではなく個人事業に完全に切り替え、採用の仕事もやめて、まったく違う仕事をしてきましたから。ちなみに当時の私も今の私も知ってくれている西崎さんから見て、そういうギャップって感じます?


西崎

正直に言うと、一切ないですね(笑)。僕はワイキューブ時代の安田さんを直接見ていたわけではなく、イメージとして知っていただけですが、「思っていた通りの安田さんだった」という印象でした。

安田

あら、そうですか(笑)。


西崎

あ、でも、こうしてお会いするようになる前は、もっとガツガツ攻めてくるタイプの方かと思っていました(笑)。でも実際はものすごく優しくて、そこはイメージ違いましたね。

安田

ああ、そこも変わったのかもしれません。年齢が上がって丸くなったというのもあるでしょうし、それに当時は無理に演じていた部分もありますから。世の中に尖ったことを発信しなきゃいけないと自分に負荷をかけていた。今はそれがなくなって、素に近い状態なんです。


西崎

ああ、そうなんですね。ちなみに僕も安田さんにお聞きしたいんですが、そもそもなぜ今回、僕たちと一緒にこのコラム企画をやろうと思っていただけたんですか? そして実際に話してみてどう感じられたのかという点も。

安田

キッカケはやっぱり、初めてお会いした時にいろいろ興味深かったからですね。「ブラックな社長」のXでの投稿もおもしろかったですし、先ほど仰ってくれたように、少なからず私やワイキューブの影響を受けた会社だというのもあったし。


西崎

なるほど、それでこの企画に誘ってくださったんですね。実際100回もお話させていただいたわけですが、どうでしたか?

安田

私にとっては「ブラックな社長」を100回取材してきたような感覚なんですが、やってみて思ったのは「全然ブラックじゃない」ということですね(笑)。ブラックカラーのオフィスなどは売りにされていますが、経営そのものは超ホワイトで、王道の経営者だなという印象で。


西崎

なるほど(笑)。もちろん僕らのブラックはブラック企業の意味ではなく、変なことをやりたいという意味合いの方が大きいので、その辺が少しでも伝わっていれば嬉しいです。

安田

いやもちろん、その意図はわかっていたんですよ? でも、だからこそ絶対なんか裏で変なことしてるだろうと思っていたんです(笑)。100回の中でその尻尾を掴んでやろうと思ってたんですが、本当に真面目で、王道で、やるべきことをコツコツ確実に積み上げている人だったという。


西崎

期待に添えず申し訳ないです(笑)。

安田

いやいや(笑)、素晴らしい人だなと思いました。ちなみに今後のこともちょっとお聞きしたいんですが、西崎さんは70歳や80歳になっても仕事ができる人だろうなと思う一方で、今後何十年もトゥモローゲートにいるつもりはないとも仰っていたじゃないですか。


西崎

そうですね。あと10数年が一つの区切りだと思っています。以前もお伝えしたと思いますが、役員を総入れ替えしようと思っていて。要は僕が抜ける時には今の役員全員で辞めるつもりなんですよ。

安田

なるほど。次の世代にバトンタッチするということですね。相当な若返りになるんじゃないですか?


西崎

平均年齢が1015歳くらいは若くなるんじゃないかな。今いるメンバーの中から経営者や後継者をつくる形になると思います。

安田

いいですね。実は私も最近、BFIの社長を43歳の方にバトンタッチしたんです。私は取締役として関わり続けていますが、やはりそのくらいの年齢の人がトップに立たないと、社会にインパクトを与える事業は難しいという感覚があって。


西崎

そうだったんですね。サイバーエージェントの藤田さんも、まさにそういう考え方のように見えます。

安田

確かに確かに。それにしても、西崎さんが退任するまでの10数年で、トゥモローゲートがどう変わっていくのか、すごく楽しみです。


西崎

ありがとうございます。まずは、「大阪にこんな変な会社がある」「日本にこんな会社がある」という存在感を、実績ベースで作っていきたいです。あとは“Bスコアをもう一つの事業軸としてしっかりと成長させていきたい。これだけは僕がやり切らなきゃいけない仕事だと思っています。

安田

企業ブランディングの第一人者として、ですね。


西崎

そうですね。その枠組みでサービスを拡充していきます。

安田

ちなみに西崎さんは、テレビのコメンテーターとかやらないんですか? 認知度や存在感を得るには一番手っ取り早い気もしますけど。


西崎

僕、表に出るのが向いてないんですよ。これだけYouTubeやってて何を言ってるんだと言われるかもしれませんが(笑)。会社を知ってもらうために必要だったと思ってやっていましたが、今後は僕ではなく会社やメンバーにスポットを当てたいですね。

安田

なるほどなるほど。10数年かけて会社をつくりながら、同時に代替わりの準備もしなきゃいけないですしね。ということで100回に渡りお届けしてきましたこの対談も今回が最終回です。ありがとうございました!


西崎

こちらこそありがとうございました!

 


対談している二人

西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社
代表取締役 最高経営責任者

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1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数20万人とSNSでの発信も積極的に展開している。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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