第74回 AIでの仕事探しが当たり前になる時代

この対談について

「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。

第74回 AIでの仕事探しが当たり前になる時代

安田

これまで何かをネットで調べるなら、Googleで検索してたじゃないですか。でも昨今はAIに直接聞くようになってきています。


西崎

そうですよね。例えば自分の病気の症状を書けば、「一番適したクリニックはここです」なんて教えてくれたりしますし。

安田

そうそう。しかもAIは日々進化しているわけで、その精度はどんどん上がっている。そうなると会社探しや職探しもAIを軸に行われるようになるんじゃないかと思うんです。つまり既存のマッチングビジネス、求人広告とか人材紹介みたいなものはAIに置き換わっていって、いつか終わってしまう気もして。


西崎

ええ、僕も同意見です。そして個人的には、そういう未来を期待したいというか。というのも、今って求人にしろ選考にしろあるいは説明会なんかにしろ、無駄な部分がけっこうあると思うんです。

安田

ああ、なるほど。確かに、長い時間をかけて探して受けてみたけど、思ってたのと全然違ったみたいなこともありますもんね。会社側がそう感じることもあるでしょうし。


西崎

そうそう。でもAIを活用して、自分の実績や職歴を入力すると一番フィットする会社がパッと出てくるようになれば、すごく効率的じゃないですか。さらに言えば、それが進化した暁には、面接というもの自体がなくなるかもしれない。

安田

なるほど。そもそも互いにフィットしているわけだから、あらためて確認する必要もなくなると。


西崎

ええ。だから求人票も、今までのようなある意味「万人に受ける内容」ではなく、「11のマッチング」を目的としたものに変わっていくんじゃないですかね。何十人も応募を集めて選考するんじゃなく、バッチリな1人に届けて、その人だけを採用すればいいわけだから。

安田

確かにそれが双方にとって最良な形ですよね。でもそうなったら、すごい変化ですよね。採用ページ自体がなくなっていくような気すらします。


西崎

僕も同じことを考えています。例えば現在ウチでは年間5,000人くらいの応募があって、6回くらい選考をして採用者を決めているわけですが、これを近い将来「応募できる人数は上限1000人」といったように変えていく予定で。

安田

ああ、なるほど。そもそも「ある程度フィットした人だけ」を集めるようにすると。


西崎

そうそう。それがうまくいったら今度は「上限500人」とかにして。最終的には「30名応募で5人採用」みたいな状態にしたいなと。

安田

いや~、いいですね。次世代の採用という感じがします。


西崎

ええ。今までは「人間に読んでもらうこと」を前提に採用サイトや求人ページを作っていましたよね。「いい会社ですよ」「風通しがいいですよ」みたいなことをいっぱい書いて。でも今後は、AIがマッチングしやすい内容に変えていかないといけない。

安田

すごく興味深いです。実際、今までみたいな休日の多さや給料の高さだけを強調した求人を作っていても、そんなのどこの会社も言っているわけだから、正しいマッチングなんてできませんもんね。


西崎

ええ。むしろ99.9%の人には響かないような尖った情報の方が、AIに拾ってもらいやすい。これによって採用のあり方自体が大きく変わるんじゃないかと思ってます。

安田

なるほど。ちなみにそういう「AIがマッチングする未来」を見越して、何か動かれていることはあるんですか?


西崎

まだサービス・プロダクトとしてリリースしているわけではないですが、そういう未来にフィットする形を既に考え始めてはいますね。

安田

なるほど。ちなみにさっきの話で言うと、飲食店探し、クリニック探し、職場探し……AIが最初に対応しそうなのって何だと思いますか?


西崎

うーん、何でしょうね。お店のページや口コミなんかをAIが全部読んでくれることを考えると、飲食店とかは早いでしょうね。

安田

ああ、なるほど。最終的にはお店だけじゃなく「AコースじゃなくてBコースにこのオプションをつけた方がいいですよ」なんて、おすすめメニューまで選んでくれたりして(笑)。


西崎

笑。全然あり得ると思いますよ。ただ一方で思うのは、「そういう状況を人間は望むだろうか」ということで。ある意味、AIの操り人形になっているような感覚を持つ人もいるだろうなと。

安田

ああ、なるほど面白い視点です。確かにそれを厭う人もいるかもしれませんね。ともあれ、今後の若い世代が「スマホネイティブ」ならぬ「AIネイティブ」になるのは間違いない。勉強もAIでして、場合によっては試験の回答もAIに指示してもらって、という(笑)。


西崎

ある意味恐ろしいですよね(笑)。でもそういう未来がすごく楽しみでもあります。


対談している二人

西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社
代表取締役 最高経営責任者

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1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数19万人とSNSでの発信も積極的に展開している。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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