原因と結果の先にあるもの
結果的にお店は2002年10月に何とかオープン。
ただ、ほとんどお金が残っていなかったため、下請け業者さんにとりあえず壁と床だけ張ってもらい、後は全て自分で仕上げざるを得ないという状況。さらに床と壁が張り終わり、お店が引き渡された時は知人に送った招待状のオープン2日前。
文字通り、不眠不休の作業で内装を仕上げた訳ですが、その最中に私はある事を閃きました。
それは、「お店を自分で作らざるを得ない」という状況は、もしかしたら集客の大きな武器になるのではないか?という事。
確かにお金がないから内装を手作りにせざるを得ませんでしたが、見方を変えれば「手作りで仕上げたこだわりの内装」とも言える訳です。
この閃きは当たりでした。
開業後、軌道に乗るまでは苦戦続きでしたが、お客さんが増えていくにつれて「手作りで仕上げたこだわりの内装」が口コミになり、お客さんがお客さんを連れてきてくれるようになったのです。
「騙された」という原因から生まれた「お金がない」という結果。
「お金がない」という原因から生まれた「お店を手作りせざるを得ない」という結果。
ここで思考が停止していたら、手作りのお店は「騙されたという失敗の結果」で終わっていたと思います。だから、この結果を原因に変えることで、また別の結果を作り出す。
「手作りせざるを得ない」という原因から生まれた「こだわりの内装」という結果。
「こだわりの内装」という原因から生まれた「口コミによる紹介」という結果。
失敗という結果を受け入れた時、そこで失敗は確定します。
ただ、失敗という結果の解釈を変えることさえできれば、その結果は次の成功へ向けた原因に生まれ変わるのです。
著者/辻本 誠(つじもと まこと)
<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計28店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。