第136回 繁盛しているお店ほど店内がきれいな訳

 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

 

繁盛しているお店には多くのお客さんが来ます。

当然ですが、お店を利用するお客さんが多くなるほど店内設備の利用回数は増えるため、普通に考えれば「繁盛しているお店ほど店内が汚れていくのは早くなる」と言えます。

でも、この仕事を長く続けてきて、つくづく感じるのです。
「繁盛しているお店ほど店内がきれいである」と。

なぜ、こんな矛盾とも思える現象が起きるのでしょうか。


私が考える、繁盛しているお店ほど店内がきれいな理由。
それは営業が終わった後の清掃作業一つに対しても、「自分のお店をお客さんの視点で見ることが出来ているから」だと思うのです。

商売する上で「顧客目線が大事である」といった内容の言葉を聞いたことのある方は多いでしょう。その為、私は当たり前のことしか言ってないのかも知れません。

ただ、実際に自分のお店を開業し、毎日同じ景色の中で仕事をしているうちに、いつの間にか店内の景色が風景化してしまい、私たちは「お客さんから見たお店の景色」という視点を失ってしまいがちな気がします。

そして、お客さんの視点を失ってしまった結果として、少しずつ汚れていく店内に気づけなくなっていく。

つまり、商売において顧客目線の重要性は分かっているものの、実際には自分のお店を主観でしか見られなくなってしまい、頭で分かっていることと日々の行動にズレが生まれてしまっているお店は多いのではないか、ということです。

そう考えるのであれば「店内のきれいさとは、どれだけ顧客目線を持って商売ができているかの現れ」であり、実際にその顧客目線を行動に移すことが出来ている結果としてお店が繁盛しているのだということ。

これが私の考える繁盛しているお店ほど店内がきれいな理由であると同時に、飲食店で生き残るのは1割という事実から考えると、「顧客目線」という当たり前のように感じていることを当たり前に実践できているかどうかを振り返ってみるだけでも、お店の業績は大きく変わる余地があるように思うのです。

 

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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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