第109回 商売を始めたいけど景気が悪い

 // 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 //
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

今回は、起業前に営業職として勤務している辻本くんにゲストとして来てもらいました。

どうやら起業の準備はしているものの、景気が悪いからもうちょっと待って起業した方が良いんじゃないか、と考えている様子。

確かに景気が良くなってからの方が、商売も軌道に乗せやすそうに思えます。
さて、こんな悩みに対して今の辻本は何を思うのでしょうか?


私は2017年から飲食店を開業するオーナーさんのお手伝いをしています。
そんな仕事をしていると、やはりオーナーさんから似たような相談をされる事があります。

「景気が悪いから、商売を始めるにはタイミングが悪いのではないか?」

こんな悩みに対して今の私が思うこと。
それは「景気の良し悪しは、気にしなくてもいいんじゃないか」ということ。

私自身、2002年に起業した時は非常に景気が悪かったため、そのタイミングで起業をすることに不安があったのは事実です。ただ、起業から現在に至るまでの過程を振り返って考えてみても、やはり景気を気にする必要はないと思うのです。

そう考える理由は、大きく2つあります。

1つ目は「商売を続ける限り、景気の波は避けて通れない」から。
2つ目は「不景気に始めた商売ほど景気の波に対して強い商売が作れると思う」からです。

「景気が良い時の方が、自分の商売も上手くいく。」
こう考えてしまうのは、起業前の辻本くんだけではないと思います。

でも今はむしろ、こう感じるのです。
「あの時に商売を始めて良かった」と。

確かに景気が良くない時は、商品がなかなか売れません。
ただそれは見方を変えれば、それだけ売るための改善を進めざるを得ず、その環境こそが結果的に景気の波に対して強い商売を生み出すと言えるのではないでしょうか?

逆に言うなら、景気の動向で商売を始めるタイミングを決めようとしている時点で、その商売は世の中の流れに依存しようと考えていると言える訳であり、流れに依存するだけで売るための改善をしてこなかった商売が、不景気を乗り越える強さを持つのは難しいと思うのです。

景気が良くなるのを待つのではなく、今の景気でどうすれば上手くいくかを考える。

これが商売を継続させていくためには欠かせない思考であり、次にいつ来るかも分からない好景気を悠長に待っていられる商売なんて、そもそも上手くいくことはないんじゃないか、と営業職時代の辻本くんに伝えたいのです。

 

 著者の他の記事を見る

著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

感想・著者への質問はこちらから