第141回 商売上手は依頼上手

 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

私はこれまで自店舗の集客だけでなく、個人オーナーさんが経営するお店の集客も手伝ってきました。

当然ですが、集客を考える上ではそのお店ならではの課題を解決する必要があり、店長やオーナーさんとの打ち合わせは欠かせません。

そんな多くの店舗責任者との打ち合わせの経験から、私はお店の経営が上手くいっている人に「ある共通点」を感じるのです。

その共通点というのが「仕事の依頼が上手い」ということ。


私が感じる「商売上手な人ほど仕事の依頼も上手い」という印象。

一見、「商売の成否」と「依頼の上手さ」には何の関連もないようにも思えます。
ただ、自身のこれまでの経験を振り返って考えてみると、やはりこの2つには大きな関連があると思うのです。

というのも、仕事の依頼とは言ってみれば「投資」であり、依頼が投資であるならば、依頼の上手さとはそのまま「回収」を増やす結果に繋がる行為と言えるからです。

じゃあ、その依頼の上手さとはどこから来ているのかと考えてみると、それは「どれだけ相手の立場に立って依頼を考えることが出来ているか」という視点にあるように思うのです。

仕事を受ける相手の立場で考えているから依頼が分かりやすく、結果的に納品される商品の質も上がるということ。逆に考えるなら、自分の立場だけで考えてしまうから依頼が分かりにくく、結果的に納品される商品の質も下がってしまうということ。

つまり、同じ金額の投資であっても得られる回収には差があり、依頼が上手い人ほどより多くの回収ができていると言えるのです。

そう考えるのであれば、私が冒頭に挙げた「商売上手な人ほど仕事の依頼も上手い」という印象は、むしろ「仕事の依頼が上手いからこそ商売が上手くいっている」とも言えるのであり、依頼の仕方ひとつで回収の質に差が生まれるならば、ここを意識するだけでもお店の業績は確実に変わっていくのではないか、と私には思えるのです。

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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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