インボイス制度が始まりましたね。「零細事業者を殺すつもりか!」ってテレビですごいニュースになっていて。
へー。そうなんですね。
はい。だけど「収益の低い仕事を淘汰していく」というのは政府の大方針なわけで。ある意味インボイスは食えない人を炙り出す制度とも言えます。
表立って言えないでしょうけど、そういう気持ちもあると思います。
炙り出された人を収益率の高い仕事に吸収していくと。だったら「食っていけない人がいる」という理由でインボイス制度をやめるのはありえないですね。
そう思います。そもそも消費税って預かってるお金ですからね。使っていいわけじゃないから。
ですよね。それがないと生活できないって、意味がわからない。
今まで「使わせてあげていた」というのが正しい言い方で。消費税が始まった時は3%だったので、回収コストを考えて零細事業者は免除していたという話。
なるほど。そういう経緯なんですね。
今は10%で金額的にも大きいですし、どこかで是正することは当然考えていたと思います。
段階を経て導入しているだけなので、そもそも既定路線だってことですよね。
そうなんですよ。いまさら騒ぐのがおかしくて。
なぜ一部の人だけ消費税を払わなくていいのか、訳がわからないですよ。
そもそも人のお金ですからね。預かってるだけで。
人には消費税を請求しておいて自分は払わないって。どう考えてもおかしいですよ。なぜメディアはそういう人の肩を持つんでしょう。「預かり金だから払わなきゃダメだろう」ってなぜ誰も言わないのか。
ネットを見るとそういう意見もあるんです。でもテレビでは一切そういう意見は出てこないですね。
だからテレビはダメだって言われるんですよ。視聴率のために偏った報道ばかりして。
1万1000円受け取った時に、自分のお金は1万円だって思わなきゃいけないですよ。
人にも請求していないなら払わないのも理解できますけどね。
そうなんです。預かっておいて自分にインするのはやっぱりおかしい。
それで「零細事業者を殺すつもりか」とか言われても。理屈が合わないですよ。
はい。その通りです。
今までたまたま駐車違反の切符を切られていないだけ。「切符を切られたら食べていけない」と言ってるのと同じ。
ほんとそうです。そもそも売上が1000万円もないこと自体がまずいんです。
消費税も含めて300万とか400万なら、どこかに就職した方がいいと思うんですけど。
いや、本当に。
私もよく聞かれるんです。「インボイスを申請した方がいいですか」って。申請してもらわないと取引先が迷惑しますよね。
申請してもらわないと免除が受けられないし経理も面倒なんです。
受け取った人が払ってくれないと、発注者側の責任になるってことですよね。
そうですね。あとはコンプライアンスの問題。多くの会社はちゃんとやりたいという意識が強いので。
インボイス制度が導入されると不公平感はなくなりますよね。
番号で全て管理できますから。いいことですよ。税務調査も楽になりますし。
ただ発注側に委ねるのは辞めてほしいです。受け取った側からちゃんと取るようにしてほしい。発注側に徴収させるっておかしな話ですよ。
大きな会社にまとめて徴収させるのが税の基本的な概念なので。社員の給与も同じじゃないですか。
基本的な概念とか言われても(笑)
本当は所得税も社会保険も一人ひとりが直接支払うものなんです。
そうなったら払わない人が出てくるわけですよね。
そうなんです。だから会社に徴収代行をさせるわけですよ。給料を払うときに天引きするのが一番確実なので。
つまりサラリーマンというのが一番確実な徴税相手だと。だから国は会社員を増やしたがるんですね。
大きい声では言えませんけど、それが真実だと思います。
久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/
安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。