第365回 賃金格差どこまで広がるのか

この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。

第365回「賃金格差どこまで広がるのか」


安田

大手のボーナスが過去最高を更新しました。平均100万円に近いそうです。一方で中小企業はボーナスが出ればいい方みたいなところもあったりして。

久野

月給を高くしないと人が採れないので。中小企業はボーナスまでお金が回らないのが現実じゃないですか。

安田

大手と中小の収入格差はどんどん広がりますか?

久野

はい。6%がひとつの基準になると思います。

安田

6%?

久野

政府は最低賃金を6%ずつ上げたいと思ってるんですけど。中小企業はそこまで上げられないところが多い。

安田

なるほど。大企業はまだ余裕ですか?

久野

大企業は前から上げられたんだけど、世の中がそんなに上げてないから「まあいいや」ってことで内部留保してきた。

安田

もっと早くあげることが出来たと。

久野

そう。本気を出せばもっと早く走れる。そんな中ですでに全力疾走してきたのが中小企業。

安田

大手はまだ全力ではないんですね。

久野

まだまだ余裕があります。中小企業はついてこれて1〜2年。今3年目に入ってきているのでかなり厳しいと思います。

安田

大手はまだまだスピードを上げますか?

久野

ここに来て大企業がスパートをかけてきてます。もう中小はついていけないでしょうね。

安田

ついていけなくても物価はどんどん上がっていくじゃないですか。社員の生活はどんどん厳しくなりますよ。

久野

そうなんです。だから転職がこれだけ増えているわけで。

安田

生産性の低い会社に所属している時点でもう負け組だと。

久野

現実的には大企業に入ることが1番だと思っているでしょうね。これから更に格差が広がると思います。

安田

アメリカみたいになるんですかね。5000万円稼ぐ人がいる一方で300万の人がいるみたいな。

久野

はい。1000万円がそんなに高い報酬ではなくなってくると思います。大企業は課長クラスで2000万くらいもらえるようになってきて。一方で400万円前後の構造は変わらない。

安田

手取りが減って、税金は上がって、物価も上がって、そして社会保険料も上がって。昔の1000万円と全然違いますもんね。

久野

そうなんですよ。今はもう1000万円では豊かな生活と言えなかったりします。

安田

年収1000万円では都心のタワマンには住めないです。

久野

住めないでしょうね。

安田

外苑前の公営団地が高層マンションに建て替えられたんですけど。1番安い部屋で5億ですって。しかも日本人が買うみたいですよ。

久野

えー!中国人ではなく?

安田

表に出てこないだけで、実は貧富の差ってめちゃくちゃあるんじゃないかと思います。

久野

それはすごくありますよ。データでも出てますから。

安田

外国人がタワマンや土地を買うことが問題になるじゃないですか。でも買う人がいるってことは売っている日本人もいるわけで。

久野

そういうことになりますね。

安田

表立って「儲かってる」とは言わないけど、かなり資産家になっている日本人も多いはず。

久野

はい。かつてないぐらい貧富の差が広がっていきそうなイメージはあります。

安田

私、前から言ってるんですけど。大手に入れないんだったら自分で稼いだ方がいいんじゃないですか。商売やって。

久野

自分で稼げるメンタリティがある時点で、またちょっと別でしょうね。そんな人だったら大手に入れちゃいますよ。

安田

なるほど。

久野

「自分でやるか大手に入るか」という選択肢のある人と、選択肢すらない人。ここで二極化していくと思います。

安田

じゃあ貧乏な人たちは現状を変えようがないと。

久野

現実的にはすごく難しいと思います。

安田

とは言え、稼いでる人からどんどん税金を取るのも限界ですよ。稼ぐのが馬鹿らしくなってくる。

久野

金持ちを貧乏にしても貧乏人は金持ちにならないって昔から言われてますから。まあ会社を選択出来るようになっただけでも健全だとは思いますけど。

安田

とは言えみんなが大企業に入れるわけでもなく。

久野

大企業は難しいかもしれないけど中小でいい会社ってあるじゃないですか。少なくともそこに入ることは大事だと思う。

安田

そういう会社に入るにはどういう努力が必要ですか?

久野

責任感を持って言われた仕事をしっかりやり遂げること。

安田

それだけで入れますか?

久野

入れると思います。それほどまでに人不足ですし、責任感を持ってやり遂げられる人って意外と少ないんですよ。

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久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/  

安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

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