地元国立大学を卒業後、父から引き継いだのは演歌が流れ日本人形が飾られたケーキ屋。そんなお店をいったいどのようにしてメディア取材の殺到する人気店へと変貌させたのかーー。株式会社モンテドールの代表取締役兼オーナーパティシエ・スギタマサユキさんの半生とお菓子作りにかける情熱を、安田佳生が深掘りします。
第87回 1万円の「干しウニ」は高いか、安いか?

ええ。その中に「干しウニ」というものがありまして。福井県で獲れたてのウニを、ただ陰干しして水分を抜いただけなんですが、これがものすごく美味しいんですよ。

日本酒にこれほど合う食べ物はないですよ。ただこれも材料費や人件費の高騰で、とんでもない値段になってまして。元々数グラムで5,000円と高かったんですが、今は1万円近くまで上がっている。さすがに買うかどうか迷っています。

ナマコの卵巣を集めた「ばちこ」ってご存知ですか? 見た目はスルメみたいなんですけどね。あれも今、1枚1万円とかするんですよ。昔は3~4,000円だったんですけどね。

なるほど。塩ウニとはまた別物なんですね。僕も実はお正月ぐらいは、とちょっといいソーセージとかシャルキュトリをお取り寄せして、高いお酒と楽しんだりします。

笑。冷静に考えれば、カロリーを摂るだけなら他にも美味しいものは山ほどあるわけで。ウニを干しただけ、ナマコの卵巣を集めただけのものなんてなくても困らない。でもこうして何百年も続いてきたわけで、面白いですよね。

ウニなんて、ほとんど水分ですから、それを干したらとんでもなく小さくなるわけですよ。でもその手間を考えたら値段も理解できる。買う側としては高いけど、作る側のことを考えたらむしろ申し訳なくなるぐらいで。
対談している二人
スギタ マサユキ
株式会社モンテドール 代表取締役
1979年生まれ、広島県広島市出身。幼少期より「家業である洋菓子店を継ぐ!」と豪語していたが、一転して大学に進学することを決意。その後再び継ぐことを決め修行から戻って来るも、先代のケーキ屋を壊して新しくケーキ屋をつくってしまう。株式会社モンテドール代表取締役。現在は広島県広島市にて、洋菓子店「Harvest time 」、パン屋「sugita bakery」の二店舗を展開。オーナーパティシエとして、日々の製造や商品開発に奮闘中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。


















