第90回 ケーキ屋さんは毎日ケーキを食べるのか

この対談について

地元国立大学を卒業後、父から引き継いだのは演歌が流れ日本人形が飾られたケーキ屋。そんなお店をいったいどのようにしてメディア取材の殺到する人気店へと変貌させたのかーー。株式会社モンテドールの代表取締役兼オーナーパティシエ・スギタマサユキさんの半生とお菓子作りにかける情熱を、安田佳生が深掘りします。

第90回 ケーキ屋さんは毎日ケーキを食べるのか

安田

「デザートは別腹」とかよく言うじゃないですか。お腹いっぱいでも、甘いものはなぜか食べれるっていう。


スギタ

確かによく言いますよね。僕は全然食べれないですけど(笑)。

安田

そうなんですか(笑)。私は全然食べられる人で、それってなんでだろうと考えたんです。一つは、実は胃袋にまだ余裕があるということで、もう一つは「欠かせない趣味」みたいなものなのかなと。


スギタ

前者はわかりますが、後者はどういうことですか?

安田

何ていうんでしょう、それを食べることで心が満たされる感じ、あるじゃないですか。あの幸福感を、仮にお腹に余裕がなくても味わいたいというか(笑)。


スギタ

なるほどなるほど(笑)。確かにデザートとかスイーツって、そういう役割ありますよね。

安田

そうなんですよ。あんまりお金がない時でも、なぜかコンビニで結構高いスイーツを買ったりしてしまう(笑)。


スギタ

ああ、ちょうど娘が同じようなことを言っていました。安いスイーツで済まそうとしている僕に「パパ、それじゃ心が満たされないよ」って(笑)。もっとオシャレだったり高いものじゃないとダメなんですって。

安田

なるほどなぁ。そう考えるとファッションにも似ていますよね。生きていくだけならオシャレさも高級感も必要ないんだけど、それを着てるとすごく満たされるというか。


スギタ

ああ、確かに。ただただ機能的なだけの服って、あまりテンション上がりませんもんね。

安田

まあでも、全体的に考えると、やっぱり男性より女性の方がそのあたりに敏感ですよね。スイーツビュッフェとか、基本的には女性客メインじゃないですか。


スギタ

そうですねぇ。やっぱり女性にとってデザートって特別なんだと思いますよ。コース料理を食べに行っても、妻はデザートの時が一番嬉しそうですから(笑)。

安田

笑。でもスギタさんも奥様も、食べようと思えば毎日食べられるじゃないですか。ケーキ屋さんをやっているわけだから。


スギタ

いやぁ、それね、子どもの頃から友達に言われてましたけど、そんなこと一切ないですから(笑)。

安田

そうなんですか? それは意識して毎日食べないようにしているってことですか?


スギタ

そうですよ。ケーキってやっぱり、「日常を特別にしてくれるもの」なので。毎日食べてるとその価値が薄れちゃう。

安田

へぇ〜、そうやって気をつけているんですね。知りませんでした。ちなみにケーキを食べる日は「ハーベストタイム」のものを食べるんですか?

スギタ

ええ。普通に客として購入して買って帰る感じです。家族が来ても同じですね。ケジメでもありますし、お客さんと同じ体験をするというのも大事だと思っているので。ちなみに従業員たちには社割がありますけど、僕や僕の家族はそれもないです。

安田

そうなんですね! 徹底されているなぁ。でもそうやってお客さん目線を大事にしているからこそ、スギタさんのお店はずっと人気店でいられるんでしょうね。

 


対談している二人

スギタ マサユキ
株式会社モンテドール 代表取締役

1979年生まれ、広島県広島市出身。幼少期より「家業である洋菓子店を継ぐ!」と豪語していたが、一転して大学に進学することを決意。その後再び継ぐことを決め修行から戻って来るも、先代のケーキ屋を壊して新しくケーキ屋をつくってしまう。株式会社モンテドール代表取締役。現在は広島県広島市にて、洋菓子店「Harvest time 」、パン屋「sugita bakery」の二店舗を展開。オーナーパティシエとして、日々の製造や商品開発に奮闘中。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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